大雨による水害を防ぐ方法を子どもたちに考えてもらおうと、東北工業大学の研究者があるコンテンツを開発しました。人気のゲームソフトと最新の3D都市モデルを活用した取り組みの狙いとは?

マイクラで防災教育

参加した小学生の母:
「すごく速いね、みんなの命かかってるから」
参加した小学生:
「命、最優先!」

7月14日、仙台市で開かれた科学に親しんでもらおうというイベント。コンピューターゲームで水害について学ぶ講座が注目を集めていました。講座を開いた東北工業大学で講師を務める小野桂介さんです。

東北工業大学 小野桂介講師:
「マイクラを使って、大雨災害・洪水災害のこと勉強してもらいます」

マインクラフト、通称マイクラは、仮想空間にブロックを置いて街づくりなどを楽しめるゲームで、世界で累計3億本もの売上を誇ります。仙台市では教育版を授業に導入している小学校もあります。

参加した小学生:
「(マインクラフトでは)色々な建物もつくれたり、他にもモードを変えれば自分で無人島みたいなので暮らせたり色々楽しむ方法があります」

洪水から街を守れ!

講座では、「キッズ向けさいがいMAP」と名付けたコンテンツに、岩手県盛岡市を流れる北上川を再現し、洪水をシミュレーションします。参加者はブロックの堤防を置くことで洪水から街を守ります。堤防に使ったブロックの数と守れた建物の数を金額として表すことで、どれだけ効率よく洪水被害を防げるかを競います。

参加した子ども:
「3ブロックかここ、でっかいな、でも建物以外の場所か、じゃあ1ブロックくらいでいいかな」

堤防が全くない場合の浸水エリアを水色、赤い線の場所に堤防を置いた場合の浸水エリアを濃い青で比べてみます。

東北工業大学 小野桂介講師:
「こっちが堤防がつくられて水が止まったので、浸水がなくなった所が水色で示されています。ここらへんはまだ溢れちゃってるので青い所がまだ残ってしまう」

コンテンツ制作の壁になったのは

もともと民間企業で堤防の設計などに携わっていた小野さん。子ども向け防災教育コンテンツの制作に取り組もうと、2022年、大学に転職しましたが、マインクラフト上で再現する実際の建造物のデータをどのように入手するかが壁となりました。

東北工業大学 小野桂介講師:
「最初は国土地理院で公開している5メートルや10メートルの解像度のデータを入れてみたんですけど、解像度が少し低かったという課題がありました。民間のデータを使おうとした時にはかなり高額な金額になりましたので苦労しました」

そうした中、仙台市が去年、宮城県内で初めて街並みをデジタル空間に再現した3Dモデルを公開したのです。

仙台市公開の3Dモデルとは

仙台市都市計画課 五十嵐大課長:
「こちらが仙台駅になりまして、こちらがホテルメトロポリタン、そしてSS30とウェスティンのビルが再現されています」

これは国土交通省が全国で進めている「PLATEAU(ぷらとー)」というプロジェクトでつくられたものです。自治体が持つ航空測量などのデータを活用し、建物の高さや用途、築年数などの情報が無料で公開されています。

仙台市都市計画課 五十嵐大課長:
「この3D都市モデルは、多様なデータと組み合わせることで、街づくりや防災、地域活性化など多様な分野でのシミュレーションなど分析が可能になるもので、民間企業においてはゲームや情報提供アプリといった新たな事業の創出にも利用可能となっています」

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