去年秋に引退したトロッコ列車「奥出雲おろち号」に代わって、この春からJR木次線に乗り入れるようになった観光列車あめつち。
地域の外から来て乗るのが難しいとの声にこたえた意外な乗り継ぎルートがこのほど誕生し、京阪神などからの乗客増加を狙います。

7月7日、島根県奥出雲町のJR出雲横田駅に滑り込んで来たのは、青い車体のあめつち号です。
駅前で乗客たちが太鼓演奏の歓迎をうける中、姿を現したのは、1台の車。
この日デビューした奥出雲・奥日野連絡タクシー「たったら~号」です。

出雲横田駅から直線で20キロ程、鳥取県日南町にある伯備線生山駅との間で、あめつちの運転日に運行する計画です。

奥出雲町 糸原保町長挨拶
「県境をまたぐ新たな観光ルートをめぐって頂くきっかけになると思います。」

おろち号と同じく、あめつちは東京、岡山から来る寝台特急サンライズ出雲号や始発の下り特急やくも1号に接続しないため、京阪神方面から来てもその日に乗り継ぐことは出来ませんでした。
また出雲横田駅から先の人気の3段スイッチバックがある区間には、急勾配が続いて性能上乗り入れられないため、出雲横田駅に到着後40分程で折り返してしまいますが、この戻りの列車にも山陽側から列車での乗り継ぎは困難でした。

このため、ジャンボタクシーにより県境を越えて伯備線のやくも号と乗り継げるようにすることで、壁を破ろうというのです。

奥出雲町 糸原保町長
「実は奥出雲町民の方は、かなり以前から生山駅を使っていた。近畿圏からこちらへ来て頂くという中で、やはりこういったルートを作れたということは非常に良かったかなと思います」

JR西日本山陰営業部 安養寺芳美観光開発副室長
「今回下り特急やくも5号とたったら~号でつなぐことで、大阪を8時頃に出発すれば出雲横田に12時前に到着しまして、12時からあめつちに乗って頂くというルートが開拓できたっていうのはすごく大きい。個人のお客様につきましては出雲横田から足がないという所でございましたので、そこをこの観光周遊タクシーたったら~号にてしっかり楽しんで頂ける、観光して頂けるようになる。」

生山駅から出雲横田駅への往路は直行便、戻りの生山駅行きは、途中で出雲そばの店や寺院などに立ち寄る観光路線になっています。

利用客は
「良いですよね。アルコールもお友達と楽しめるし、車だとまず無理ですもんね。」
「大変良かったですよ。お蕎麦もおいしかったですしね。」

一方で、あめつちの運行開始前から地元の観光協会では列車が出雲横田駅止まりになることを受け、駅を降りた乗客がタクシーやバスで町内を巡ったり普通列車で3段スイッチバックに乗ってさらにほかの観光地も楽しめたりするプランを用意していました。
しかしここまでの所、利用は振るわないといいます。

奥出雲町観光協会 遠藤達也事務局次長
「多くの方が往復で帰ってしまわれますので、奥出雲の滞在時間が40分位ということで、まだ10名程度しか我々が作ったツアーには参加がない。個人で来られたお客様も是非3、4時間滞在して頂いて、そのあとの木次線で、ローカル線で帰って頂く、というのが我々の希望です」

3段スイッチバック区間を走る列車を間近に望むことができるとあって、去年はおろち号を見送る観光客でにぎわった道の駅も…

道の駅奥出雲おろちループ 藤原紘子駅長
「旅行会社のあめつちに乗るツアーで立ち寄って頂くというのは何本か入れて頂いてます。おろち号の時は近くの三井野原駅下車ですとか、備後落合駅から道の駅に寄って頂くというツアーが多かったもので、団体バスツアーが大変多かったんですけれども、今はそういった形ではないですね。木次線が見える駅ということで、引き続き変わらず木次線の応援をして行ければなと。」

また、あめつちは快速運転で途中の駅に停まらないため、おろち号の時は乗客に向けて手を振ったりダンスを披露したりしていた奥出雲町内の地区でも、おもてなし活動は運行開始日の1回だけで、その後は中断しています。

こうしたなか。

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