熊本労働局は熊本県内の最低賃金について、厚生労働大臣の諮問機関「中央最低賃金審議会(中賃)」の小委員会が示した50円の引き上げ幅を、審議会に伝達しました。今後、この引き上げ幅を軸に議論が本格化します。

全国平均「50円目安に引き上げを」

中賃の小委員会は7月24日、今年度(2024年度)の最低賃金の全国平均を現在の時給1004円から50円引き上げる目安額を取りまとめました。

最低賃金は都道府県の経済状況に応じてAからCの三つの区分に分けていて、熊本県はCランクですが、小委員会ではAからCのすべてで50円の引き上げを目安額としています。

これを受けて、熊本県でも7月26日に本格的な議論に入りました。

熊本県 去年の45円引き上げが「過去最高幅」

熊本地方最低賃金審議会では去年、中賃が示した目安額の39円を上回る45円の引き上げを決め、去年10月8日から最低賃金の時給は898円になりました。

去年の45円は過去最大の引き上げ幅でしたが、今年は中賃の段階で去年を上回る幅が示されています。

物価高などで経営コストが重くなる中、人件費の負担はなるべく抑えたい経営側と、物価上昇幅を下回る程度の最低賃金の上昇では生活の維持が難しいと訴える労働者側。

経営者側・労働者側の訴え

7月26日の専門部会でも、熊本県経営者協会の岩永秀則(いわなが ひでのり)専務理事は「中小零細企業は賃上げ分の支払い能力も含めて不安があり、最低賃金の引き上げは簡単にはいかない」とけん制しました。

一方、連合熊本の山本寛(やまもと ひろし)事務局長は「労働者が最低限の生活を営むには1050円の時給が必要」と訴えました。

中賃の目安額通りに引き上げた場合、最低賃金は948円になりますが、熊本地方最低賃金審議会は、7月30日に開く次回の審議会で引き上げ幅を示す予定で、900円台半ばを軸に激しい議論が予想されます。

今後の流れは

熊本大学法学部の教授で審議会の倉田賀世(くらた かよ)会長は「労働者の生計費や事業者の支払い能力などの影響を踏まえて、慎重に審議したい」と話しました。

改訂額が順調に決まった場合、今年10月1日から新たな最低賃金が適用されます。

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