長崎県佐世保市で当時高校一年生だった女子生徒が同級生を殺害した事件から26日で10年になりました。「人の尊厳を踏みにじった快楽殺人」。家庭裁判所の決定要旨でそう断じられた加害者の元少女はことし医療少年院の収容期限を迎えます。元少女への「矯正教育」は成果として現れているのか?そして元少女のこれからは?

長崎家裁決定要旨より
【非行事実】2014年3月2日深夜、佐世保市の自宅で就寝中の父親の頭部を金属バットで殴打したが、全治2週間の外傷性くも膜下出血などを負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった。
14年7月26日夜、1人暮らしをしていた佐世保市の少女宅で、同級生の高校女子生徒の後頭部をハンマーで多数回殴打し、頸部をタオルで絞めるなどして殺害した。同日夜、生徒の財布から現金を窃取。同日夜から翌日、少女宅で包丁などで死体を損壊した。

同級生「僕は中学生のときから(2人と)一緒の学校だったので、それで(加害者とも)喋らないっていうわけでもなくて、割と喋ってた」

加害者と被害者、2人は同じ高校の同級生でした。その学校に通っていた同級生の男性です。

同級生「何かおかしいなって気づいたのは僕が部活をした時ですね。上空にヘリコプターが飛び始めて、先生か放送か忘れたんですけど『中に入ってくれ』って言われて。20~30分待機してる時に、携帯を持っていたのでみんなで何が起こっているのかを調べてたら、その被害者の方がですね亡くなられてるっていうのをニュースでそこで初めて知ったっていう状態です」

「人を殺したかった」「体の中を見たかった」

殺人容疑で逮捕されたのは15歳の女子高校生。
首を切断するなど、遺体を激しく傷つけており、警察の取り調べに対して「人を殺したかった」「体の中を見たかった」という趣旨の供述をしました。

同級生「その事件が起きて初めて登校した時ですね。もう本当にもう誰も一言も話せないしやっぱり仲良かった人とかも、泣いてる人もいたりとか、先生も冷静ではなかったらしいですね。学校から笑顔が消えたというか…。高校1年生のフロアは全部統一されているんですが、その階はもう本当に誰1人笑える状態ではなかった。もう事件一・二ヶ月後は本当に普通じゃない状態が続いてた学校全体がですね」

長崎家裁決定要旨より
【非行に至る経緯】小5当時、下校中に見た猫の死骸に引き付けられ、猫を殺すようになった。小6時に給食に異物を混入させた。継続的カウンセリングが必要との意見も出たが、父が反対したこともあり適切な対応は取られなかった。
中学では親しい友人もでき、学校生活にもなじんでいた。一方、猫を殺すだけでなく解体するようになり、さらに人を殺したいと思うようになった。13年10月、中3時に実母が病死した後も殺人欲求はなくならず、父殺害を具体的に計画するようになった。14年3月2日深夜、少女は父の寝室に侵入し、バットで父の頭を数回殴打したが殺害に至らなかった。父は救急車で搬送され治療を受けたが警察に届けず、関係者にも警察沙汰にしないように求め、事件にならなかった。
少女は殺害失敗でさらに殺人欲求が強まった。父は原因が分からず、少女を精神科に通院させたが、欲求がなくなることはなかった。

殺人への強い欲求があった元少女。
小学生の時からいくつかの深刻な問題行動が確認されていました。
小学生の時、給食への洗剤混入。
小学生から中学生にかけて、猫殺し。
高校に上がる直前、父親を金属バットで殴った殺人未遂。

しかし、問題の隠ぺいを望んだ親の行動などが壁となり、少女に対して適切な対応がとられることはありませんでした。

悪いことを悪いと教えられずに成長した元少女。事件の8カ月前、中学3年だった時に母親が病気で死亡し、その後父親が再婚したことが事件の引き金になったと指摘されたこともありました。
そして事件は発生してしまいました。(2回目へ)

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