低コストで効率的かつ高精度な研究を実現するための挑戦です。東北大学の学生らが立ち上げたスタートアップ企業がロボットやAI技術を駆使して実験を自動化する「ラボオートメーション」の研究を大学と共同で始めました。

研究するのは「ラボオートメーション」

東北大学の学際科学フロンティア研究所です。

Queeen B 永田将真CEO(東北大学・修士2年):
「こちらが現在私たちが開発している研究。自動化の装置の一部になります」

ここで東北大学との共同研究を始めたのは、東北大学の学生らが立ち上げたスタートアップ企業「Queeen B」です。研究するのは「ラボオートメーション」。

ロボットやAI技術による実験の“自動化”です。これまでは人が行っていた単純作業を機械化することで、より効率的で高精度な実験を行うことができます。

ナゼ「人の手」で行うより良いのか

例えば、この研究室で行っているのは人間のたんぱく質の解析。人の手で行うと時間がかかる上に、研究者自身のたんぱく質がサンプルに混入してしまい正確なデータを得られないリスクがありましたが、ロボットによる自動化で問題の解決を図っています。

Queeen B 永田将真CEO:
「これは教育現場などで使われる簡単なプログラミングで、動かせるロボットを使っているが、いろいろなパーツと組み合わせることで実験に特化したものに改造している」

きっかけは「時間が割けない」

研究が始まったきっかけは学生の実体験でした。

共同研究の参加者学生団体「Labo Robo」稲川雅也代表(東北大学・博士1年):
「研究とは関係のない排液の登録作業とかデータをまとめる作業とか、あるいはソフトウェアの雑務や手作業のただの繰り返しにすごく時間が奪われていて、本当にやりたい研究に時間が割けない現状があった」

これまでラボオートメーションには高額な装置が必要で、資金に余裕のある一部の研究室しか導入できませんでした。

コストを10分の1にできたワケ

しかし、比較的安価な既存のロボットアームに3Dプリンターで作った部品を組み合わせることで、コストを10分の1ほどに抑えながら研究ごとに適したオリジナルの装置を作れると言います。

Queeen B 永田将真CEO:
「汎用のロボットアームと3Dプリンターで低コスト化、そして小規模化を狙った。これによってこれまで導入できなかった多くの研究室でのラボオートメーションの導入を可能とする」
東北大学学際科学フロンティア研究所 笘居高明教授:
「学生が主体となって自由な発想でやってくれるところが大きい。学生だからこそ気づけるようなところに気づいて、新しい発想で装置を作ってくれている」

今後、ラボオートメーションを広めることで、世界中の研究開発が促進することを目指しています。

Queeen B 永田将真CEO:
「この技術をどんどん高めていって、汎用的な自動化装置を作ることで日本全体の研究室や研究機関に自動化を提供して、イノベーションが加速していくような世界を目指していきたい」

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