戦前、戦時期の暮らしなどを紹介する博物館「昭和館」(東京・九段南)で、サンリオの創業者で名誉会長の辻信太郎さん(96)のインタビュー映像が公開される。創業の原点は空襲体験。世界で愛されるキャラクター「ハローキティ」を通じて平和を希求する思いを語る。映像は来年3~4月ごろに館内で公開し、ウェブ配信も検討する。(小松田健一)

◆妹背負い火の海逃げ惑う

 「なぜ人が殺し合わなければいけないのか。『戦争だから仕方がない』というのはおかしい」。映像で力を込める。

インタビューに答えるサンリオ名誉会長の辻信太郎さん(左)

 甲府市出身。1945年7月6~7日に同市が大きな被害を受けた甲府空襲で、幼い妹を背負いながら火の海となった市街地を逃げ回った。今年7月9日に品川区内であった収録では約1時間、悲惨な光景を目の当たりにした経験やそこから得た教訓を語った。  敗戦直後に闇市でせっけんを販売して生計を立て、山梨県職員を経て60年にサンリオの前身「山梨シルクセンター」を創業。お祝い事や記念日などで、相手への思いを込めたひと言を記すグリーティングカード販売に乗り出した。

◆世界中で愛され半世紀

 「みんなが小さな贈り物を贈り合って仲良くすれば、争いは起きない」との思いは、世に送り出してきた数々のキャラクター商品につながる。「ハローキティ」は今年で誕生50年を迎え、世界中で愛されている。  聞き手を務めた昭和館図書情報部の山田祐美さんは「『人を武器で倒そうとするのでなく、コミュニケーションで解決する世の中にするべきではないか、そのために何ができるか考えた』という言葉がとても印象に残りました。体験を多くの人に伝えたいと思います」と話した。 

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