青森県立中央病院と青森市民病院を統合した新病院について、宮下知事は候補地の案を2つに絞り、議論の再スタートを求めました。

一方で、西市長は整備費の県の概算について「理解に苦しむ点もある」とあるとしていて、今後議論が本格化します。

どうなる統合新病院

宮下知事は、22日開かれた県議会全員協議会で、統合新病院の整備場所に関する検討資料を提案しました。今回、提示された資料では「青い森セントラルパーク」と「県営スケート場一帯」について、交通や事業費などをまとめています。

通院やアクセスでは「県営スケート場一帯」は環状線や青森中央インターチェンジに隣接し、広域アクセスに優れるのに対して、セントラルパークの場合は、市の中心部に位置し、市内からの移動距離は優れる、としています。

事業費の面では「県営スケート場一帯の場合、移設するスケート場の整備などを含め、約163億円。セントラルパークの場合、新しい駅の整備などを含め323億円以上が必要になります。

青森市「理解に苦しむ点もありますので…」

青森県 宮下宗一郎知事
「ここでスタートだと思った方がいい。なぜなら、いままで候補地は3案あった。旧青森商業高校・県立中央病院と三内地区の県総合運動公園は落ちている。そこはなくなったと考えて、(整備場所の決定に)8月までと期限は切られていますが、拙速に結論を急ぐのではなくて両案に県も市も真摯に向き合って、議論を進めるべき」

県営スケート場一帯に統合新病院を整備する案について、青森市は現段階では多くの疑問点があり、県からの提案に同意していないとしていて、23日に開く検討会議から精査するとしています。

青森市 西秀記市長
「まだ検討に値する細かい情報が得られていないので、それを待って、急いで検討したいと思っています。資料には金額の比較とか書いてありますが、我々は理解に苦しむ点もありますので、あらためて質問を続けていきたい」

また、宮下知事は、新病院を県営スケート場一帯に建設する場合、既存の施設の移転先としてセントラルパークも候補地の一つに挙げていて、青森市内にある県有施設の整備計画が大きく変わっていく可能性があります。

「県営スケート場一帯」か… 「セントラルパーク」か…

新病院の建設候補地を話し合う21日の「有識者会議」では、県の説明を基に出席者が、課題となっている交通や医療体制について意見を交わしました。

有識者会議では、県の担当者が統合新病院を建設する候補地の「県営スケート場一帯」と「青い森セントラルパーク」のメリット・デメリットを記した資料を基に出席者に説明しました。

県が示した資料のうち、どのくらいのお金がかかるのかについて見てみると…

▼県営スケート場一帯の場合
163億円と見込まれています。スケート場を移すことになるので、その整備費用が最も多くかかり88億円、サンドームの整備に42億円、そのほか、道路整備や橋の改修も盛り込まれています。

▼セントラルパークの場合
323億円以上と見込まれます。スケート場一帯案に比べると、ほぼ2倍の金額です。内訳は、八甲田大橋からのアクセス道路に115億円、新しい駅の整備に100億円以上、スケート場やサンドームの改修費合わせて69億円が盛り込まれています。

候補地を選ぶに当たっては新病院へのアクセスもポイントになりますが、21日には消防の担当者から、県営スケート場一帯付近の入り組んでいる道路の構造による問題点を指摘する声が上がりました。

青森地域広域事務組合 村上 靖 消防長
「環状7号線は、令和3年(2021年)から3年間で164件の交通事故による救急出動があり、そのほとんどが交差点周辺で発生しています。また、一般車両がある程度、スピードを出して走行している状況であり、条件が揃ってしまえば搬送中の傷病者を巻き込んだ大事故につながる可能性も非常に高い」

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