近年、急増しているサイバー犯罪とはインターネットなどサイバー空間を利用した犯罪です。
なかでも今、「フィッシング詐欺」というものが全国で多発しています。

「フィッシング詐欺」とは、実在するネット銀行やクレジット会社などをかたる偽のメールが届き、メールにあるURLなどを開くと、偽のホームページへと誘導されます。

そして、パスワードなどを入力すると、そうした情報が盗み取られ、口座から預金が不正に引き出されてしまうというものです。

こうしたインターネット口座の不正送金被害がおととしから急増していて、去年は全国で5578件発生し、被害総額はおよそ87.3億円と、件数と被害額いずれも過去最悪となっています。

サイバー犯罪の被害が深刻化する中、宮崎県内では、警察や企業、それに防犯ボランティアなどが連携して、被害の防止に向けた取り組みを進めています。

新設「サイバー戦略局」

インターネットやSNSの普及で後を絶たないサイバー犯罪。

県警察本部によりますと、サイバー犯罪に関する県内での相談件数は、2019年以降、年間2000件前後と高止まりが続いています。

(宮崎県警察本部サイバー戦略局 本田敏郎指導官)
「サイバー犯罪につきましては、インターネットの高度化に伴って、いろんな高度な犯罪が、増えてきております。そのような事案に対処するために、サイバー戦略局を設置いたしました」

県警察本部が今年3月、新たに設置した「サイバー戦略局」。

サイバー捜査課と企画課で構成し、あわせて26人が配置され、サイバー犯罪の専門的な捜査や広報啓発活動などにあたっています。

フィッシング詐欺の被害が増加 「投資名目詐欺」も

戦略局の本田敏郎指導官は、県内でも、特にフィッシング詐欺の被害が増えているとして注意を呼びかけています。

(宮崎県警察本部サイバー戦略局 本田敏郎指導官)
「(フィッシング詐欺は)県内におきましても、昨年が22件、前年が2件でしたのでプラス20件と、被害総額につきましては、約2500万円ということで、いずれも、急増しているという状況となっております」

去年9月には、県内の女性の携帯電話に実在するネット銀行をかたった偽のメールとURLが届き、誘導された偽のサイトに個人情報を入力したことで、およそ1000万円をだまし取られる被害がありました。

このほか、サイバー空間を使った「投資名目詐欺」も増えているということです。

(宮崎県警察本部サイバー戦略局 本田敏郎指導官)
「SNSサイトとかインターネットの広告欄にですね、有名実業家とか経済学者の講演会をやりますと、いう形で、サイトに誘導して、そこの中で、SNSの友達登録であったりとか、投資話、これは全部うそになるんですけど、を持ちかけて、現金や暗号資産をだましとる」

民間による「サイバー防犯」の活動も

警察だけにとどまらず、県内では、IT企業などで構成する県サイバーセキュリティ協議会「MiCS」が県や県警と連携して活動し、啓発活動などを強化しています。

(渕 雅顕 記者)
「皆さん、このようなメッセージが届いたことはありませんか?近年、インターネットを使った犯罪が深刻化していることを受け、ネット上に蔓延る違法なサイトをパトロールしています」

今月11日に行われたのは、社会人や大学生などの「特定サイバー防犯ボランティア」によるパトロール。

県警と、「MiCS」の会員でもあるIT企業の「クラフ」が連携した取り組みで、25人の防犯ボランティアが専用のアプリを使って、正規のサイトを装ったいわゆる「フィッシングサイト」を発見し、通報しました。

(特定サイバー防犯ボランティア)
「巧みにサイトが作られていて、実際に普通の方が見ても一見して分からないようにうまく作られているので、そういったところを私たちで早めに見つけて少しでも被害が少なくできれば」

「高齢の親や小さい子供がいるので、これから先、サイバー防犯に巻き込まれないように、まず、自分が学んで身近な人を助けられたらという思いで皆さんと同じ気持ちでボランティア活動をしたい」

日常に潜み、誰もが被害者になりかねないサイバー犯罪。
警察などが進める対策と同時に、私たちもリスクを知ることが重要です。

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