知人の女と共謀して姉を殺害し通帳などを奪ったとして強盗殺人などの罪に問われているホームレスの妹、辻和美被告(52)。

16日の裁判で、子供を置いて失踪しホームレスになったきっかけを、「パチンコによる借金」だと語った。失踪前から逮捕されるまで約20年、睡眠不足になるほど続けた”売春”では、その収入の大半を知人の女に送金したと証言した。

知人の女と共謀し姉を殺害し通帳など奪ったとされる、辻和美被告(52)

起訴状などによると、辻和美被告(52)は去年6月2日、知人の岡村恵美被告(47)と共謀して、福岡県水巻町の町営住宅で姉の辻つぐみさん(当時52)の首を圧迫して殺害し、通帳3冊と印鑑を奪った強盗殺人などの罪に問われている。

これまでの裁判で、和美被告は、岡村恵美被告との共謀と姉の殺害を否認。単独で行った「強盗事件」だと主張した。

16日の公判では、証言台に立った和美被告に対し、事件当日の行動に加え、これまでの生活にも質問が集中した。

なぜ家族の前から失踪しホームレス生活になったのか

検察官 2002年頃借金をするようになりましたか
辻和美 被告 ーはい

検察官 何で借金を作りましたか
辻和美 被告 ーギャンブルです、パチンコです

検察官 大体いくらぐらいですか
辻和美 被告 ー200万円とか

法廷での証言によると、和美被告は、夫(当時)と2人の子供と福岡県水巻町の団地に暮らしていたころに、ストレス発散のためパチンコにはまった。夫(当時)は長距離トラックの運転手で、家に帰るのは月に1~2回。家庭のことや子育ての悩みから、子供を家に置いて毎日、閉店までパチンコに興じていたという。

辻和美 被告
「いろいろ家庭のことであったり子供のことであったり。ずっと旦那が近くにいるわけではないので子供には私しかいないので、なんかかんか、ちょっとした悩みぐらいはありました」

和美被告は、借金が返せる額ではなくなったことから、2008年に家を出てホームレス生活を始めたと話した。

実は、家を出る4年ほど前から和美被告は、勤務先で知り合った岡村被告に金を振り込むようになった。まだホームレスになる前の2004年から2008年までに、1400万円以上が送金されていた。

知人の女が用意した携帯電話で売春

弁護人 送金したお金はどうしたのですか?
辻和美 被告 ―売春です

弁護人 売春していたのは岡村被告に返すためですか
辻和美 被告 ―(借金を)返済するためです

和美被告は、岡村被告に出会い系サイトを教えてもらい、岡村被告が用意した携帯電話を使って客を探した、と話した。

売春で得る収入は1人あたり3000円から1万5000円。生活費を抜いて残りは岡村被告やその家族の口座に送金していた。

弁護人 売春の収入、1人あたり1回いくら?
辻和美 被告 ―まちまちというか・・・やるあれにもよります

弁護人 安い人は
辻和美 被告 ―3000円ぐらい

弁護人 高い人は
辻和美 被告 ―1万5000円

弁護人 売春で得た金は生活費に使っていましたか?
辻和美 被告 ―あまり

弁護人 1日いくらで生活していましたか
辻和美 被告 ―1000円~2000円ぐらい

弁護人 残りは?
辻和美 被告 ―送金していました

弁護人 送金していた口座は6つですか
辻和美 被告 ―はい

弁護人 岡村被告と2人の子供の口座?
辻和美 被告 ―はい

弁護人 どの口座にいくら送金するか、誰が決めていましたか
辻和美 被告 ―岡村被告に聞いて入金していました。

弁護人 理由は?
辻和美 被告 ―それは岡村被告じゃないと分かりません。

「逃げようとしたこともあった」が・・・

和美被告はその日の売り上げを、携帯電話を使って毎日、岡村被告に報告していたという。

弁護人 ―岡村被告に命じられていたから?
辻和美 被告 ―自分から

弁護人 「ホテルに入ります」「ホテルでました」という報告は?
辻和美 被告 ―していました

弁護人 どんな気持ちで暮らしていましたか
辻和美 被告 ―返すのに精一杯だったので、そこまで考えていなかったです

弁護人 家を借りる金は、岡村被告に送金しなければ、家を借りることもできたのではないですか
辻和美 被告 ―私の中では返すことが前提でしたので

そして、岡村被告から逃げようとしたこともあったと、話した。

弁護人 岡村被告から逃げたいと思ったことはありますか
辻和美 被告 ―何度かありました

弁護人 何度か実行しましたか
辻和美 被告 ―客の家に一緒に住んでいたり、何回かありました

弁護人 どのくらいの期間?
辻和美 被告 ―長くて半年、短くて2、3か月

弁護人 岡村被告との連絡を絶って客の家に逃げ込んでいた?
辻和美 被告 ―はい

弁護人 見つからずにはすまなかったのですか?
辻和美 被告 ―はい、何か月か人の家にいる時にふと(岡村被告が)目の前に現れるというか、「なんしよん」というのが何度かありました

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