北陸新幹線が石川県内で全線開業してから4か月がたちました。
県内で開業した駅のひとつ、加賀温泉駅のある加賀市は開業効果を期待していたまちのひとつですが、コロナ禍前と比べ観光客は減っているといいます。
加賀市のまとめによりますと、4月の「観光入り込み客数」は13万1586人で、前の年よりは伸びたものの、コロナ禍前・2019年の9割以下にとどまりました。5月もコロナ禍前の7割程度で、延伸効果が表れていないことが浮き彫りになりました。
全線開業直後でこの数字にとどまっていますが、今地元の人たちの実感は厳しいようです。
加賀温泉駅前のタクシー運転手「全然増えてないよ!新幹線なんて要らないよ、もう金沢どまりでいいのよ」
新幹線が開業したことで、さぞ「入り込み客が増えて」などといった声が聞かれるかと思いきや、地元のタクシー運転手の話は真逆でした。
タクシー運転手「敦賀で乗り換えっていうのがだめ。関西・中京ガタ減りや!」
これまで特急の直通で来ることができた関西・中京方面からの観光客が、敦賀での乗り換えが必要になったことで激減したというのです。
さらに加賀市の温泉街からも、延伸効果が感じられないといった声が聞かれます。
山中温泉旅館協同組合・吉本龍平専務理事「延伸効果はあると言いたいところではあるが、残念ながら実感できる効果は今のところない。特に関西・関東どちらも半分くらいになっている」
山中温泉旅館協同組合によりますと、2024年3月から5月のエリア別の宿泊者数は関東が8568人、関西は1万9312人といずれもコロナ禍前の半数程度で、アクセスの悪くなった関西だけでなく関東からの入り込みも伸び悩む現状となっています。
山中温泉旅館協同組合・吉本龍平専務理事「本当は関西で少し減った分を関東で少しカバーするというところかなと期待はしていたが、新幹線が伸びたにもかかわらずコロナ前の半分というのはちょっとショックな部分はある」
組合ではこれから迎える夏休みでの挽回に期待する一方、大阪までの敦賀延伸の早期着工を求める声が強まっているということです。
山中温泉旅館協同組合・吉本龍平専務理事「どうしても交通インフラとなると自分たちの力ではなかなかできない部分があるので、1日も早く大阪にまで新幹線がつながると良いなと」
加賀市では、能登半島地震による「旅行控え」が大きな要因とみています。実際にインバウンドで加賀市を訪れる観光客数は、2024年は4月5月ともコロナ禍前の2019年の半分ほどです。
インバウンド全体の半数を占める台湾からの観光客は、能登半島地震や台湾東方沖地震の影響から伸び悩んでいて、「敦賀どまり」の北陸新幹線にのみ原因を見いだせるのかは難しいところですが、「こんなはずでは」との思いを加賀市で抱いている人は多いようです。
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