夏の高校野球大会長野大会は大詰めを迎えています。
その一方であこがれの甲子園への夢が叶わなかった球児たちもいます。
春の優勝校、東京都市大学塩尻高校の夏に密着しました。
7月17日の対赤穂高校戦。
春の長野県王者として臨んだ都市大塩尻の夏が終わりました。
強豪校として知られる都市大塩尻。
春の県大会を制し、勢いそのままに北信越大会でも準優勝。
夏の大会は、第1シードで臨みます。
優勝候補の一角。夏の甲子園出場を目指しチームの士気も高まっていました。
長野大会の開幕を控えた今月4日。
この日は、ノックで守備の連係を。
シートバッティングで打撃や走塁などの攻撃面の連係を確認しました。
■背番号5 伊藤雄大(いとう・ゆうだい)主将
「全員がチームのことを考えられるように一試合一試合戦って その中で成長して甲子園に行って勝つというところが自分たちの目標です」
今月6日、万全な調整を経て開会式に臨んだ選手たち。
リラックスした表情で行進します。
そして迎えた初戦、相手は須坂高校です。
長短合わせて27本のヒットを浴びせ49得点。
相手打線をヒット2本のみに抑え、コールド勝ちで次の試合に駒を進めました。
■都市大塩尻高校 長島由典(ながしま・よしのり)監督
「本当に淡々と一日一日 足元見つめてやってくれていると思いますの でチーム状態としては悪くないのかなと思っています」
チームを引っ張ってきたのは、速球の威力十分の冨山(とみやま)くん。
ストレートのキレで勝負する種市(たねいち)くん。
コースに投げ分けるコントロールが持ち味の城倉(じょうくら)くんの3投手。
3人のピッチャーをリードするのがキャッチャーの黒澤(くろさわ)くんです。
■背番号2 黒澤寛大(くろさわ・かんた)選手
「3人とも個性が豊かで面白いキャラがそろっているので それをうまく引き出すのが自分の役目で(3人の気持ちが)落ちるときは極端に落ちてしまうので どうやって声をかけるかとか 怒らなきゃいけないときは怒らないといけないので大変だったかなと思います」
去年、2年生の夏から正捕手を務める黒澤くん。
3人のピッチャーもさぞかし頼りにしているのかと思いきや…。
■背番号10 種市晃己(たねいち・こうき)選手
「黒澤は甘えがちなので(笑)でも野球しているときとのメリハリはね」
■背番号1 冨山信希(とみやま・のぶき)選手
「頼りないっすよでも(バッテリー陣を)引っ張っていってくれているので そこは黒澤を信用してやらなきゃいけないなとは思います ピッチングのこととか抑え方とか大事なこととかは常に話すようにしています」
黒澤くんと3人のピッチャーの絆の強さを示すものがあります。
黒澤くんの野球ノートです。
3人の投手それぞれの長所や特徴を分析するために、練習や試合で感じ取ったことを書きつづってきました。
試合のベンチにもノートを持ち込み、自分たちの課題などを書き込んで強いチーム作りを目指してきました。
■黒澤寛大選手
「ここはこうするべきだったなとか 思ったことを常に試合中は書いたりしています ベンチに行くと安心できる材料(ノート)があるので つけてて良かったなと思います」
いつしか、ノートは、黒澤くん自身の気持ちを奮い立たせる存在になっていました。
■黒澤寛大選手
「長野県ナンバーワン捕手という目標を立てたんですけど そうなるためにこのページは自分の目標を見失ったときにどうしたらいいのか 再度考えさせられるきっかけです」
今年の春先は、思うような結果が残せなかった黒澤くん。
チームも勝ちきれない日が続く中でも決めた「長野県ナンバーワン捕手」という目標。
固い決意のもと、チームを甲子園出場に導くため臨んだのがベスト8進出をかけた赤穂高校との一戦です。
都市大塩尻は、3回ノーアウト2・3塁から2点を先制します。
しかしその後エースの冨山くんが相手打線につかまり、3点を失い3対3の同点で終盤へ。
7回からマウンドに上がった城倉くんもヒットなどで2アウト満塁のピンチを招くと…。
最終回に重い重い2失点を喫します。
2点をリードされ、迎えた都市大塩尻の9回裏の攻撃。
ワンアウトランナーなしでバッターは、黒澤くん。
ヒットで出塁し、あとを仲間に託します。
しかし得点はならず。
都市大塩尻はベスト16で姿を消しました。
■城倉琉衣選手
「黒澤のミットめがけて投げたんですけど自分の力が制御できなくて 思った通りに投げられなかった 今思い返せば『頼り』しかないキャッチャーだったと思います」
■冨山信希選手
「負けていても 自分が点取られた時も笑顔で声をかけてくれて 本当に感謝しかないです」
■黒澤寛大選手
「もう明日から こいつらと一緒に野球ができないと考えるとなんだか心さみしいです」
敗戦のあと、学校に戻って行われた最後のミーティング。
■長島由典監督
「何がやっぱりお前らが偉かったか考えると 秋の準優勝や春の優勝が決して偉かったわけではなくて 俺の印象としては天狗になるわけでも おごるわけでもなく謙虚な姿勢で貫き通してくれた その姿勢というのが一番すばらしかったと思います」
3年生「ありがとうございました」
白球を追いかけ、3年生27人で駆け抜けた夏が終わりを告げました。
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