長野県民にとってもなじみの深いお隣・新潟県上越市の海。
海水浴場の砂浜が、波や風によって削られている異変を5月にニュースワイドでお伝えました。
本格的な夏の訪れを前に進む砂浜の復活作戦。
現状を取材しました。


6月 大塚記者:
「新潟県上越市の鵜の浜海岸です。海水浴場オープンに向けて準備が進められています」

長野市から車でおよそ1時間半の場所にある新潟県上越市の鵜の浜(うのはま)海水浴場。


海開きを2週間後に控えた6月25日、海水浴場には重機が入り、砂を敷きならす作業が急ピッチで行われていました。

「信州の海」とも呼ばれ、長野県民にも親しまれてきた人気の海水浴場。

重機が入っての工事は、数年前から続くある異変がきっかけです。

その異変とは。

大潟観光協会 佐野謙一(さの・けんいち)事務局長:
「これが去年の冬から一番ひどく侵食された海岸になります」

風や波によって砂浜が削られ、海に流出する、海岸侵食です。


6年前と比べるとその違いは一目瞭然。

海水浴で利用できる砂浜が半分近く無くなりました。

一部ではコンクリートの護岸がむき出しになっています。

上越市によりますと、浸食がはじまったのは、3年前。

徐々に砂浜が削られてきましたが、今年1月に一気に進みました。

佐野さん:
「ずっと海のところまで砂浜がいっていたところが、この高さまでえぐられてしまいました」

海岸侵食に詳しい長岡技術科学大学の犬飼直之(いぬかい・なおゆき)准教授は、周辺で起きた侵食が、鵜の浜にも波及してきたと指摘。


温暖化による高波の発生や、波消しブロックが積まれた離岸堤(りがんてい)の隙間から波が入ることで循環流が発生し、侵食が進んだと分析します。

市や地元の観光関係者は対策を協議し、離岸堤の間隔を狭めるため、新たに2基の波消しブロックの設置を進めています。

さらに。


今年5月、鵜の浜海水浴場の近くの橋の架け替え工事の際に出た大量の砂を海水浴場に搬入。

その量はトラック400台分、2000立方メートルに上りました。


露出した護岸などに砂を敷いて海水浴場の面積を確保し、比較的侵食の被害が少ない西側に100メートルほど移動する計画です。

大潟観光協会 佐野謙一事務局長:
「やはり砂浜がよみがえってくる毎日の状況を見ると、すごく安堵というか安心感が出てきました」

地元の住民:
「(以前は)自然の偉大さというか脅威、恐ろしさ、それをまざまざと実感しました」
「砂もいいし、侵食状況もいいし、いい方向に向いているんじゃないかなとホッとしています」

さらに、鵜の浜海水浴場のシンボルとして親しまれる人魚像。

流されないよう市が2023年12月に一時撤去しましたが、これまでとは10メートルほど海から離れた場所に半年ぶりに戻ってきました。


佐野さん:
「おかえりなさいと言いたい。ここの売りは人魚像が見える海岸、夕日がすごく他にはない特色だと思いますので、楽しみに来ていただければありがたい」

迎えた今年の海水浴シーズン。

鵜の浜の海岸に砂浜が戻ってきました。

海の日の15日は、時折強い雨が降るあいにくの天気。

それでも、浜辺にはさっそく海水浴を楽しむ家族連れの姿がありました。

長野市から:
「とりあえず砂浜みたいに今なっているので、問題ないのかなと思うんですけど」
「子どもたちも天気悪くても楽しんでいるのでいい」

こちらは海水浴場で唯一の海の家である浜茶屋。


例年と同じ場所で今年も営業をスタートさせました。

浜茶屋ふじや 渡邉正幸(わたなべ・まさゆき)さん:
「砂浜が削られて今年はどうだろうということもあったんですけど、砂を入れてくれるということで、海水浴はOKだよということだったので、浜茶屋を建てられたことはすごくうれしいことです」

佐野さん:
「ぜひまたみなさんもこの状況を見ていただければ幸いかなと思っています」
「安心して海を楽しんでいただける環境も整えて、お迎えをする準備もできていますので、(長野から)近いですので、ぜひお越しいただければと思っています」

消えた砂浜の復活作戦。

関係者の努力で今シーズンも無事に海水浴場は、オープンしました。

今年も「信州の海」は大勢の人たちでにぎわいそうです。

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