福島第一原発事故によって新潟県内への避難を余儀なくされた人らが、国と東京電力に損害賠償を求めた裁判の控訴審で東京高裁は19日、国の責任は認めずに、東京電力のみに賠償を命じる判決を下しました。

【原告弁護団 遠藤達雄 弁護士】
「本来的に求めている損害からすれば取るに足らない金額でありますが、後退はしなかったという程度の評価しかできない。基本的には不当な判決」

またも国の責任が認められなかった19日の控訴審判決に、原告からは嘆く声が聞かれました。

この裁判は、福島第一原発の事故の後新潟に避難した住民らおよそ800人が、国と東京電力に対して、1人あたり1100万円の損害賠償を求めていたものです。

3年前に下された新潟地裁での一審判決でも国の責任を認めず、損害賠償は636人に対して大人1人あたりおよそ23万円に留まり、原告の多くと東電との双方が控訴していました。

原告側は控訴審で、国の責任を認めることに加え、1人当たり300万円の賠償の上乗せを求めていました。

一方で、この控訴審の最中、国が定めた避難指示区域内の原告155人が東電と和解し、原告は自主避難していた区域外の自主避難者だけとなっていました。

19日の判決で、東京高裁の木納敏和 裁判長は「原発事故によって避難を余儀なくされた」と認めた上で、大人1人あたりおよそ29 万円の賠償金を払うよう命じました。

一方、地震の規模が想定よりはるかに大きく「国が対策を講じても海水の浸入は避けられなかった可能性が高い」として、一審同様、国の責任を認めませんでした。

【原告 磯貝潤子さん】
「国の大きな壁は越えられないんだな。本当は悔しいからもう1回やりたい気持ちもあります」

原告側の弁護士は、原告団と判決内容を相談し、希望があれば上告したいとしています。

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