スタジオジブリ作品の世界を表現した公園施設「ジブリパーク」(愛知県長久手市)が完成するまでの過程や、宮崎吾朗監督が手がけた仕事の数々を紹介する「ジブリパークとジブリ展」(東京新聞など主催)が9月23日まで、東京・天王洲の寺田倉庫B&C HALL/E HALLで開かれている。宮崎監督はジブリパークに取り組んだ日々を振り返り「映画では描かれていない部分を埋めたり、調整したりする作業だった」と語る。(石原真樹)

「ジブリパークとジブリ展」でネコバスの立体展示を体験する来場者(©Studio Ghibli)

◆映画では見られなかった「ハウルの城」の細部も

 会場には施設内の建物や展示のイメージ図やデザイン画、模型などが並び、緻密な作業を重ねてジブリパークがつくり上げられていった様子を伝える。3月にオープンした「魔女の谷」エリアにあるハウルの城の関連では、城のパーツの原寸大のサンプルや、20分の1サイズの外観や内部の模型などが展示される。  「映画では城は張りぼてだし、出てくる部屋も居間くらい。建築も内部のしつらえも『間』を埋めていかなければならず、地道な面倒くさい作業を延々とやった」と宮崎監督。

「ジブリの大倉庫」イメージスケッチの前に立つ宮崎吾朗監督=東京都品川区の寺田倉庫で(©Studio Ghibli)

 周到に図面などで準備しても現地で作業を始めて見落としを発見することもあり、城の現場では「ぶつかるはずがないところがぶつかっていた」という。「めり込んだ部分があって、でも『めり込んじゃったのね』という造形にした。一般の方は気づかないのではないか。現場で何かあったとき、どんな知恵を出せるかが面白さ」

◆「面倒くさい」は想像力の証

 取材中に何度も「面倒くさい」と口にした宮崎監督。宮崎駿監督の口癖でもあり、駿監督は「面倒くさいとは、何が起きるか想像して先読みができるから。想像できなければ面倒くさいとは思わないんだ」と説明したという。「相変わらずのへ理屈だけれど、自分も初めて映画を撮ったときには面倒くさいと思わなかったが、今は面倒くさいしか思い浮かばない」と宮崎監督。展覧会には「面倒くさいがいっぱい詰まっている」と笑う。

「ジブリパークとジブリ展」について話す宮崎吾朗監督

 三鷹の森ジブリ美術館(東京都三鷹市)ができるまでの舞台裏や、アニメ「アーヤと魔女」の制作過程を解説する展示もある。「構造が露出した倉庫という空間が『プロセスを見せる』展示の性質と合っていて出色。バラエティーに富んだ内容を楽しんでもらえたら」

◆カオナシや湯婆婆に会える

 「ジブリパークとジブリ展」は、「ハウルの城」や「サツキとメイの家」の模型のほか、映画「千と千尋の神隠し」のキャラクター「カオナシ」や「湯婆婆」、「となりのトトロ」に登場する「ネコバス」の立体模型も展示している。日時指定予約制で大人1900円、中高生1600円、小学生1200円。詳細は公式ホームページで。 

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