15日に行われる宮城県の「塩釜みなと祭」では二基の神輿が町を練り歩きます。この二基の神輿は、男性のみで担がれていますが、実は、塩釜市の祭には女性だけで担がれている神輿もあり町を盛り上げています。女性ならではの力強さや明るさで町を彩る女性神輿の担ぎ手たちの思いに迫ります。

「朱雀連」のメンバーは

「どっこい、どっこい」と塩釜神社の近くにある事務所で力強い掛け声を響かせていたのは、女性神輿の担ぎ手団体「朱雀連(すざくれん)」のメンバーです。この日は、塩釜みなと祭に向けて練習を行っていました。現在、およそ35人で活動している朱雀連。会長の正木法子さんは、結成当初からのメンバーです。

朱雀連会長 正木法子さん:
「塩釜に住んでいる方でも、まだまだ全然、朱雀連という女性だけの神輿の会をご存じない方もいらっしゃるので是非、見て頂きたいし応援して頂きたいし、参加してもらうのもいい」

朱雀連は1990年(平成2年)に結成。当時、塩釜神社の役員だった正木さんの父が女性による地域活性化を願い、市内の女性たちに呼びかけたのが始まりです。

朱雀連会長 正木法子さん:
「塩釜を盛り上げて行こうという人たちが集まって、男性の方の神輿は静々と動き出すけれども、私たちの方は明るく楽しく担いでおります」

日本三大船祭の一つ塩釜みなと祭

「塩釜みなと祭」は戦後間もない1948年に復興を願い始まり、今年で77回目を迎えます。日本三大船祭の一つに数えられる歴史ある祭で、それぞれ重さ1トンある二基の神輿が町を練り歩きます。202段の石段を降りてくる姿や上る姿、そして、松島湾を巡る神輿海上渡御も圧巻です。

「みなと祭」を含め年に3回ある塩釜の祭。いずれも、塩釜神社と志波彦神社の神輿が町を練り歩きますが担ぎ手は古くから男性のみが務めてきました。

朱雀連会長 正木法子さん:
「男性が担いでいる神輿には触ることができない。朱雀の方の万灯神輿には神は入ってませんけれども、女性だけで神輿を担ぐ、それも魅力の一つなのかなと思います」

結成から34年、結婚や出産などを機に塩釜を離れた人もいますが、祭が開催されるときには地元に戻ってくる人も多いと言います。

参加者:
「今、仙台に住んでいますが、塩釜にかえってくると塩釜好きだなって。いい意味でのリフレッシュになるし、やりがいもあるし、とにかく楽しい」

担ぎ手初挑戦は2人!

中学生以上の女性なら塩釜市に縁がなくとも担ぎ手として祭に参加することができ今年は2人が初挑戦します。

初参加の女性:
「地元でこういうお祭りがなくて、ずっとやってみたいなと思っていて、ワクワクしています」
「以前から参加させた頂きたいって思いがあった。男性とはまた違う女性の声の腹から出る声の発信って感激します」

女性たちが担ぐのは四角い胴の上に弓張提灯を掲げた万灯神輿で、重さはおよそ400キロ。

塩釜を題材にした「甚句」と呼ばれる民謡と力強い掛け声をあげながら神輿を担ぐのが特徴です。この甚句を担当するひとりが、会長の娘・正木美潤さん。祖父が作り、母が受け継いできた伝統を多くの人に知ってもらいたいと意気込みます。

正木美潤さん:
「30年以上、朱雀連は続いているので守っていきたい気持ちはすごくあります。男たちには負けられないなって」

202段の石段、駆け上がれるのか!?

祭、最大の見せ場は、202段の石段を駆け上がる階段行列。この日は、初めての階段練習を行いました。一歩踏み間違えれば大きな事故。練習にも熱が入ります。

朱雀連の神輿が神社の表坂の階段を上がるのは年3回ある祭の中でも「みなと祭」だけです。

朱雀連会長 正木法子さん:
「歴史深い、長いお祭りです。それに参加させて頂くという感謝の気持ちもありますし、私たちも楽しくお祭りに参加し、また見ている方たちも楽しくなれるように明るくなれるようにやっていきたい」

女性ならではの明るさとその力強さで塩釜を照らします。

朱雀連は神輿を担ぐだけではなく、みなと祭で開かれる陸上パレードにも参加し伝統の「よしこの塩釜」という踊りを披露するということです。塩釜みなと祭は、15日月曜日に本祭が開かれます。朱雀連の神輿に是非、注目してもらえればと思います。

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