去年12月、沖縄本島中部の公園で16歳未満の少女を誘拐し自宅で性的暴行を加えたとして、わいせつ誘拐と不同意性交等の罪に問われている米空軍兵の初公判で、性暴力に抗議するフラワーデモを主催する女性が傍聴人として法廷に入ろうとした際、リュックサックに花束を入れ、見えるように持った状態で入廷しようとして、花を隠すよう求められる一幕があった。

女性によると、裁判所職員に法廷の入口付近で呼び止められ「花は持ち込めない」と告げられた。この花束は、初公判の前日11日に行われたフラワーデモの参加者らが、性暴力の根絶を訴え、被害者に寄り添う思いを示そうと持っていた花だったという。

▽フラワーデモ主催者の女性
「表現や(意見)表明をするようなものは持ち込めないと言われた」

女性は結果的に、持っていた自分のカーディガンを花束にかけて隠して入廷を認められ、傍聴した。


那覇地裁はRBCの取材に対し、「裁判長は花束を隠すことを条件に入廷を認めた」と回答した。その根拠として、「裁判官は法廷の秩序を維持するのに必要な事柄を命じることができる」などとした裁判所法や、裁判所傍聴規則を根拠にあげた。

裁判所傍聴規則では、傍聴人に対し、法廷のなかで所持すべきではない物の持ち込みを禁じるほか、裁判官の職務執行を妨げることなどが疑われる顕著な事情があれば、入廷を禁じることができると定めている。
今回のケースでは、裁判の進行を妨げる行動が疑われ、花束を法廷内に持ち込むべきではないと判断された可能性がある。

▽フラワーデモ主催者の女性
「納得して(法廷に)入ったというよりは、花を持って入ろうとするなら、入れないという選択しか与えられなかった。であれば、裁判を聞けないのであれば目的がずれてくるので、納得はしていないけど…」

似たようなケースでは福岡地裁が去年、同性婚をめぐる裁判で、性的多様性を象徴する虹色の腕時計や靴下を法廷内で着用しないよう原告側に求め、原告側は外すか隠すなどして裁判を傍聴したケースがあった。(神里晏朱)

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