愛知県の大村秀章知事のリコール運動で、署名を偽造した罪に問われているリコール団体の事務局長だった男の裁判で、名古屋地裁は4月19日、執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。

大村知事の解職を求めたリコール団体の事務局長だった田中孝博被告(62)は、2020年10月、佐賀市内でアルバイトを雇って有権者の氏名を名簿に書き写させ、71人分の署名を偽造した地方自治法違反の罪に問われています。

田中被告は逮捕前の取材でこう話していました。

(田中孝博被告62歳 2021年9月24日)
「司法の場できっちりと話します」

しかし、これまでの裁判で田中被告は、認否について「弁護人よりお話させていただきます」と話すなど、自ら事件の詳細は説明しませんでした。

弁護側は「県の選挙管理委員会が、犯罪捜査を目的として署名簿を押収・調査したことは違法」だとして無罪を主張。

一方、検察側は「施設を確保し、アルバイトを多数手配するなど計画的かつ大規模な犯行で悪質」だと指摘して、懲役2年を求刑していました。

19日の判決公判で、名古屋地裁の大村陽一裁判長は、
「組織性、計画性が認められることはもちろん、直接請求制度に対する社会の信頼を失墜させ、地方自治の運営そのものを揺るがしかねない悪質な犯行。まさに首謀者として犯行を主導していただけでなく、自身の政界進出への足場を作ろうなどと考え、動機も誠に利己的で厳しい非難に値する」
と述べ、田中被告に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

判決後、田中被告は、報道陣の取材に答えることなく、裁判所を後にしました。

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