横浜市教育委員会が教員の性犯罪事件の公判で一般傍聴を妨害していた問題を巡り、職員動員のきっかけになったとされる要請文書をつくったNPO法人が10日、東京新聞の取材に応じた。代理人弁護士は「全ての席を埋めるよう要請したつもりはなかった」と説明。行政側に性被害の深刻さを認識してもらう趣旨だったとして、「当初の想定と違う方向になり、困惑している」と述べた。

◆作成した文書には「傍聴マニアの傍聴を狭めたい」と記載

 NPO法人は、市教委が職員を動員した公判4件のうち、最初の1件の被害者支援に関わった。2019年4月、研修の一環で傍聴するスタッフ向けの「傍聴要請と注意事項」と題した文書を作成し、市教委側にも渡したという。

NPO法人が横浜市教育委員会に送った要請文書

 代理人は「被害の実態を職員にも知ってほしいという純粋な思いだった」と強調。文書に「傍聴マニアの傍聴を狭めたい」と記述したことに関しては、「深刻な事案で被害者が特定されることを恐れ、できれば傍聴者が少なくなればという思いはあった」と認めた一方、傍聴席を満席にするほどの職員派遣は求めておらず、「一般の傍聴者を排除する意図はなかった」と釈明した。

横浜地裁(資料写真)

 傍聴を要請したのは2019年の1件だけと説明。2023〜24年にあった別の3件で市教委が職員を動員していたことは把握していなかったとしたが、「文書が傍聴妨害のきっかけになったとしたら申し訳ない」と語った。

◆横浜市教委は、当時の対応にならい傍聴ブロックを継続した

 市教委は東京新聞の取材に「(NPO法人から)要請されたのは1度だけで、その後は2019年当時の対応を参考にした」とコメント。詳しい経緯は弁護士3人によるチームが検証中としており、7月中に結果を公表するとしている。(森田真奈子、神谷円香) 

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