淡水魚に、サニーレタス。一見、まったく関係がないように見えますが、実はこれは、福島県二本松市の会社が、魚を育てて野菜を作るという、新しい農業のスタイルを目指して始めたものです。しかも、その会社の本業は自動車部品の製造。現場を取材しました。
二本松市にある「服部製作所」。自動車部品を製造する会社で、従業員は12人。今年で創業54年を迎えた老舗工場です。
その工場の隣にあるのは、農業用ハウス。その中には…。
服部製作所・服部克洋専務「サニーレタス、サンチュ、リーフレタス、あとチンゲンサイですね」
工場で育てられる野菜の秘密
ハウスの中に並ぶ新鮮な葉物野菜。なぜ、町工場が、野菜を育てているのでしょうか?
服部専務「人間の欲求である、食の部分につながる事業を立ち上げたいと思った。自然界で野菜や植物が育つという循環を、人間の手で環境を作り出すことで、持続可能な食物の生産につなげられると思う」
事業を立ち上げた、専務の服部克洋さん。持続可能な新しい農業のスタイルを目指して、おととしから試作を始め、今年4月に、本格的に事業を立ち上げました。
その服部さんが注目した、新たな農業に登場するのが「ティラピア」という魚です。
服部専務「アクアポニックスという栽培方法。魚を育てて、その魚のふんで野菜を育てる」
魚の畑?「アクアポニックス」とは
アクアポニックスは、魚の養殖で出た排せつ物を、微生物の力で養分に変え、その水を使って栄養価の高い野菜を水耕栽培する方法です。農薬に頼らずに生産が可能で、次世代型の農業として、いま、注目を集めています。
ハウスの池では、ティラピアをおよそ80匹育てていて、この水を利用して、4種類の葉物野菜を栽培しています。服部製作所にちなんで「はっとりーふ」と名付け、直売所などで販売しています。
服部専務「当面の目標は、1~2年をかけて試験栽培をしてもっと事業を広くして、県内、さらには全国にしっかり供給できる体制を取っていきたい」
全国的にも珍しい「魚の畑」とも言えるアクアポニックスで、服部さんは、異業種への本格参入と、持続可能な農業の2つの実現を目指します。
さらに、魚は食べることができるそうで、一石何鳥にもなるこの取り組みの今後に注目です。
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