4月に消防士となった新人が今、消防学校で訓練漬けの日々を送っています。
命を守る現場に出る前のハードな日々を追いました。

71人の新人たち

4月9日、熊本県益城町にある県消防学校に71人の新人が入校しました。

県内各地で採用された消防士が現場に配属される前に、半年間共同生活を送りみっちり訓練に打ち込みます。

熊本市消防局 古上大雅 学生代表
「県民の信頼に応えられる消防職員になることをここに誓います」

熊本市消防局 古上大雅 学生代表

実はこの71人、入校式の前から既に消防の世界の厳しさに直面していました。

受付 “前” から訓練開始

入校式の前日、寮に入る時の受付で待ち受ける教官・・・。

新人「竹内紘晟です!よろしくお願いします!」

教官「まだ声が出るだろ!小さい!やり直し!」

教官からOKが出るまで受付は終わりません。

教官「気をつけの姿勢が悪い!まっすぐ指先を伸ばす!やり直し!」

1分1秒を争う騒然とした現場で連携して行動する消防。
メンバーに伝わらない声だしや姿勢の乱れなど、わずかな隙が重大なミスにつながりかねません。


江島利治 教官「消防士の仕事は住民の生命・身体・財産を守るというとても責任が重いもの だからこそ消防学校の校則はすごく厳しいものになっている」

そして、開始から30分。

新人「おはようございます!菊池広域連合消防本部から参りました!岩根拓希です!よろしくお願いします!」

教官「よし!」
新人「ありがとうございます!」

最後の1人が合格。初日から厳しさを叩き込まれました。

最後に合格した新人消防士「やっぱり厳しいなって感じて・・・厳しいですけどしっかりしないといけないなと思いました」


新人消防士「こういうのがあるっていうのは知っていたんですけど予想以上でした やばかったです」

こうして始まった消防学校生活。71人全員が決意を表明しました。

不安続く避難所生活 出会った消防士の言葉

熊本市消防局 杉村琉綺さん「何事においても全力で努力を継続させ、信頼される一人前の消防士を目指していきます。よろしくお願いします」

熊本市消防局 杉村琉綺さん

こう語ったのは熊本市消防局の杉村琉綺(すぎむら りゅうき)さん(21)。高校卒業後、3度目の試験でようやく合格を勝ち取りました。 

杉村さんが消防士を強く志すようになったきっかけは8年前の熊本地震です。

杉村さん「緊迫した現場で活動する消防士のたくましい姿を見て、自分も人の役に立つ仕事をしたいという思いで消防士を目指しました」

熊本市に住んでいた杉村さんは当時中学生。およそ2週間避難所で生活し、不安な日々を過ごしていましたが、消防士の声かけに救われたといいます。

杉村さん「不安でおびえていた中、消防士が寄り添ってくれて『安心していいよ』と言われたときにぐっと気持ちがこみあげて、自分も何か行動したいという気持ちになりました。」

あの時自分を支えてくれた消防士のようになりたい。厳しい訓練の日々が始まりました。 

基本動作こそ「全てに意味がある」

この日は集団行動の基本となる整列の訓練です。

「番号!1・2・3・4・・・」

江島教官「今の君たちの番号の呼称のスピードでは早期に部隊の人数を把握することはできません。仲間が一人いないならすぐ救助しに行かなければならない。全てに意味がある」

江島利治 教官

早く、大きな声で。

基本動作をひたすら繰り返し、疲労がピークに達しながらも訓練を続けること2時間。整列はきびきびしたものに変化しました。

杉村さん「普段使わない筋肉なので足などが突っ張てしまった。まだ2日目なのかという・・・」

「信頼される消防士」目指して

さらに訓練は続き、3.5キロ走って体を追い込みます。

杉村さん「後半上げようと思ってもなかなか上がらなくて きつかったです」

目指すは信頼される消防士。これからおよそ半年間、訓練の日々が続きます。

杉村さん「消防学校で技術や知識を身に着けるのはもちろん、人間としても成長できるように、昨日の自分を超えることを目標に頑張っていきたいと思います」

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