能登半島地震からの復興を目指す中で、液状化対策を行うエリアや工法を話し合う新潟市の専門家会議では、全国からの対策事例がいくつか示されています。

その一つが、地下水を排出する『地下水位低下工法』です。
2007年の中越沖地震で被害を受けた柏崎市の山本団地や、2016年の熊本地震の被災地で採用されました。

地下水の水位を下げるとどのような効果が得られるのでしょうか?
液状化現象に詳しい新潟大学工学部の保坂吉則助教に実験してもらいました。

新潟大学工学部の保坂吉則助教が、水槽の中に砂と水を入れて“液状化しやすい”地下水に満たされた地盤を再現。
そこにハンマーで振動を与えると、建物の模型が沈み込むように倒れました。

しかし、水を半分ほどまで減らすと…
「全く何ともない」
「びくともしていないですね」
「かなり強くたたいてもほとんどしない」

地下水位を下げることで、液状化現象は起きにくくなるのです。

ただ新潟市の専門家会議では、この工法の難しさを指摘する声もありました。

【国交省 奥山悠木企画専門官】
「熊本市では、十分に水位が下がりきっていないことがその後の観測で判明し、現在追加工事を実施している」
「地下水位低下工法は、水位が十分下がるかどうかは、実際にやってみないとわからないという難しさがある」

札幌市で採用された主な工法は『地盤改良工法』です。
宅地の地下には薬液を、住宅周辺の道路の地下にはセメントを入れ、地盤を改良する工法です。宅地でこの工法を採用した全国で初めてのケースとなります。

【札幌市危機管理局 危機管理課 佐々木将仁 防災計画担当係長】
「住民が“居住しながら”でも施工可能な点を最大のポイントとして選定しました」
「新千歳空港の液状化対策で使った実績のある工法だが、今回被害を受けた清田区里塚地区の土が新千歳空港と同じ土だった」

また、液状化対策に必要な住民全員の合意を得るために札幌市では、住民の費用負担をゼロにする方針で臨みました。

東日本大震災で液状化現象の被害を受けた千葉県浦安市では、住宅を囲むようにして地中にセメント状の壁を作る『格子状地盤改良工法』を採用しました。

新潟市役所で当時の取り組みを説明した浦安市の担当者は、住民の合意形成の面でで苦労したと振り返りました。

「さまざまなライフステージの中で、自己負担金を出すのは難しいと…」

浦安市で対策工事を実施できたのは、16地区のうち1つの地区だけにとどまったということです。

液状化現象に詳しい新潟大学工学部の保坂吉則助教によりますと、それぞれの工法にメリット・デメリットがあるということです。

新潟市では専門家の意見を参考にしながら、場合によっては実験を行うなどして、今後の液状化対策工事のエリアや工法を決めたいとしています。
また新潟市は、今後の対策工事については一定の個人負担を求めることを基本としていて、住民の合意形成も大きな課題となってきそうです。

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