新たな紙幣の発行が始まりました。お札の顔が一新する一方で、おカネをめぐる、日本人の意識も、大きく変わろうとしています。
■20年ぶり新紙幣発行に列島フィーバー
7月3日、20年ぶりにデザインが刷新され流通が始まった新紙幣。銀行には朝から多くの人が…
一番乗り男性「一番目にここで新紙幣に触れて、嬉しい」
1万円札の新しい顔となった「渋沢栄一」のふるさと、埼玉県・深谷市でも…
おじいちゃん「感動しました手応えありました。本物は違う」
1000円札は北里柴三郎、5000円札も津田梅子にバトンタッチ。
茨城県の塾ではおととい早速、新紙幣を使ったお金に関する授業が行われました。
先生「本物よ、おもちゃみたいにみえる?」子ども「ほんとだ、渋沢栄一だ」
生活にかかるお金について学びながら、お金の大切さを実感してもらうのが目的です。
子ども「お金のことをよく知らなかったけど、知ることができてよかった」子ども「お金が生活費としてけっこうかかることは知ってたんですけど、お金の重みを実感できたかな。(お金は)難しいです」
■「財布は空」進むキャッシュレス決済
こうした授業が開かれる背景にあるのは、近年急速に進む「キャッシュレス決済」。消費支出に占める割合は去年39.3%と、2010年と比べ、およそ3倍に拡大しています。
例えば、JR東海バスは7月3日から、キャッシュレス決済を前提に、一部のバスを除き、運賃箱の運用を取りやめるなど、社会の至る所で「キャッシュレス化」が進んでいます。
若い人に街で聞いても…
20代男性「普段は本当にスマホだけかも。財布はあんまり別に…」20代女性「(財布の中見せながら)(現金)入ってない。やっぱりポイント還元されて実際の値段より安く買える」
■「新紙幣はこれが最後」お札の未来は?
こうした中での新紙幣発行。日銀出身の中島教授は…
中島真志・麗澤大教授「着実にキャッシュレス化が進んでいく。今から20年経ったらデジタル円ができて、
人々もかなり使ってる。そうすると事実上、今回の改刷(新札発行)が最後になるんじゃないかと」
■時代とともに変わる日本人のお金観
お金のありようが大きく変わりつつある中、振り返ってみれば、日本人の「お金に対する意識」もまた様変わりしてきました。
昭和の高度成長期を象徴するのが、聖徳太子の1万円札。日本が世界2位の経済大国となる中、懸命に働いて、お金を貯めることは美徳とされました。
そして1984年、紙幣の顔として、夏目漱石や福沢諭吉が登場。バブル経済は加熱し、おカネは日本株や不動産に流入。当時の新聞には、"財テク"の見出しが踊りました。
街録「日本の国を信じてますから、絶対買い」(87年)
■タンス預金60兆円のゆくえは
しかし、まもなくバブルは崩壊。さらに1990年代後半の金融危機を受けて、銀行預金に対する不安が高まります。その結果…
当時の街録「タンス貯金に入れている方がまだいい-」
1990年代の金融危機で、銀行預金への不安が高まる中、増えたと言われるのが、いわゆる「タンス預金」です。
当時の街録「金利なんかあてにしてない」「タンスにしまっておいた方がいい」
日銀による金融緩和策によって未曾有の低金利が続いたこともあり、タンス預金の額は、ピーク時にはおよそ60兆円にまで増加したという試算もあります。
■お金への不安から広がる投資熱
そうした中、若者を中心に、新NISAなどを利用した「投資」への関心が広がっています。背景にあるのが
持っていても価値が上がらない昨今のおカネ事情。
去年、若者を対象に行われた調査によれば、「将来のお金に対する不安がある」と答えた人は8割を超え、その対策に、半数以上が「投資する」と答えたのです。
30代男性「新NISAもやってますし、色々やってます」20代女性「やっぱり老後資金なんかも、私たち若者世代だと年取った時に『ない』と考えているので、今のうちから、(投資で)コツコツと貯めていく必要がある」
さらに、こうした投資資金の多くが、現在、海外の株式に流れている状況があります。中島教授は…
中島真志・麗澤大教授「かなり急激に円安が進んでいるので、毎月何兆円という金額が海外に流れている。ボディ―ブローのように日本経済に効いてくる。やはり人々の信頼というのは大事。もう少し日本の経済を強くしていかないと、(円に対して)不安になっているところはある」
円に対する意識が時代とともに変化するなか、お金はどんな存在に変わっていくのでしょうかー?
(「サンデーモーニング」2024年7月7日放送より)
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