3日に公表された“年金制度の健康診断”とも言われる「財政検証」についてです。私たちは将来どれだけの年金がもらえるのでしょうか?
■将来の年金額 今より減少か 年金制度の健康診断
加藤シルビアキャスター:
年金制度がこの先100年維持できるかという、5年に一度 行われる「財政検証」の結果が公表されました。
財政検証結果によりますと、2024年度の年金受給額は月額22万6000円ですが、現在会社員の夫(32歳)と専業主婦の妻が65歳になる2057年度の年金受給額は月額21万1000円となり、2024年度と比べると年間18万円減少する試算になるということです。(サラリーマンの夫と専業主婦の妻を「モデル世帯」として年金を試算)
ホラン千秋キャスター:
財政検証結果をどのようにご覧になりますか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
33年後の年金受給額は現役世代の手取り収入に対して5割を維持する見通しが示されましたが、これはある程度、経済が成長し、少子化も止まるだろうという楽観的な前提をもとに作ったものです。それでも年間18万円も減ってしまうわけですから、年金だけで暮らしていくのはつらいですね。
井上貴博キャスター:
自分の人生設計を考えるなかで、年金制度は大変重要なものです。しかし多くの人が当てにならないと思っているのではないでしょうか。もっと正直な見通しを示していただきたいです。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
政府側の本音としては、公的年金だけでは老後資金のすべてをカバーすることは難しいので、NISAなどを利用してくださいという本音が見えますね。
■年金は本当に「100年安心」?
公表された年金の財政検証について政府は3日、「おおむね今後100年間の公的年金制度の持続可能性が確保されているということが改めて確認されたものと考えております」と述べました。
本当に年金は「100年安心」なのでしょうか?街の人からは不安の声が聞こえました。
会社員(20代)
「もう自分がおばあちゃんになったら、もらえないんじゃないかなって不安があります」
パート・年金受給(67歳)
「(年金)2か月で12~13万円くらい。これ以上減るのはちょっと…」
会社員(31歳)
「現状物価高がずっと続いてる中で、それだと多分(年金だけでは)圧倒的に足りない」
一方で対策をしている人も多くいました。
会社員(30代)
「NISAとかけっこうやってます。人に頼らず自分で金稼いで貯めた方がいいんじゃないかな」
会社員(38歳)
「個人年金積立とか、そういう個人の保険入ってます」
会社員(37歳)
「新NISAと、主人もNISAとiDeco」
年金受給が近づく50代からは…
会社員(59歳)
「もともとあんまり当てにしていない。死ぬまで働くしかない」
会社員(53歳)
「年金もらえなかったら、払った分返せよと言いたい」
■将来の年金 年間18万円減 将来への備えは
ホランキャスター:
「100年安心」と言われても、100年後がどうなっているのか誰にもわかりません。やはり自分で何とかしなければいけないのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
年金を受け取れないということはありませんが、受給額は少しづつ減っていく可能性はあります。政府は支給年齢繰り上げ問題や、年金を支える若者の減少で受給額が下がることなど、ネガティブな情報も出していくべきだと思います。
加藤キャスター:
今回の財政検証での年金額試算の条件は、▼経済成長が過去30年間と同程度 ▼出生率が多少改善(2070年には1.36)▼実質賃金上昇率が2034年度から0.5%となっています。しかし足元を見てみますと、2023年の出生率は1.20と過去最低に、実質賃金上昇率は25か月連続マイナスです。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
やはりNISAなどを利用した資産運用と、消費税などの税金で年金を支えるという選択肢を考える時期になってきているのだと思います。
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<プロフィール>
星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年
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