北海道旭川市で、女子高校生を川に落とし殺害したとして、女2人が逮捕された事件。捜査は大詰めです。
雪の積もる道で、踊る女。先月12日、殺人の疑いで逮捕された内田梨瑚容疑者です。
7月3日、勾留期限を迎え、起訴されるかどうかが決まります。
内田容疑者は、19歳の女とともに、4月、旭川の“神居古潭”で、留萌の高校生、村山月さん17歳を“神居大橋”から川に落として、殺害した疑いが持たれています。
殺害された村山月さんを知る人は…。
村山さんの高校の先輩(先月12日)
「クラスのムードメーカーで明るくて…みんなと関われるような、僕の相談にのってくれてすごく優しい子だったので…」
事件の発端は、SNSでした。内田容疑者が写った画像を、村山さんが断りなくSNSに使用したことで、トラブルに発展しました。
内田容疑者は、次のような趣旨の供述をしているとされます。
《言葉遣いが気に入らなかった。村山さんを呼び出し、謝罪を求めたが失礼な態度を取られた》
内田容疑者は、19歳の女らとともに、村山さんを車に監禁し、留萌から旭川へ。移動する途中、村山さんに暴行も加えていました。
内田容疑者の同級生
「(内田容疑者が)やんちゃして、夜までワァ―と騒ぐことは想像できるが、他人に迷惑かけるような犯罪、人の命を奪うまでいってしまうイメージはまったくなかった」
荒木颯太記者
「週末には、若者で賑わう旭川の繁華街です。内田容疑者は、この辺りでよく知られた存在だったということです」
内田容疑者は、旭川の歓楽街“3.6街(さんろくがい)”で、後輩を引き連れ、飲食店に出入りする姿がよく見られていました。
その中の1人とみられるのが、内田容疑者が“舎弟(しゃてい)”と呼ぶ19歳の女でした。
内田容疑者が“舎弟”と呼んでいた19歳女の同級生(小中学校)
「(19歳の女が)小学校高学年のときに、友だち何人かと遊んでいて、1人と喧嘩して、ムカついて包丁出して、脅したのか、突きつけたという話を聞いた」
内田容疑者と19歳の女は、村山さんを車で連れまわした後、橋から転落させ、殺害したとみられています。
内田容疑者は、次のような趣旨の供述をしているといいいます。
《橋から落ちたかどうかは知らない。置いてきただけだ》
捜査関係者によりますと、内田容疑者は、殺人を否認する趣旨の供述をしています。
一方で、事件後、複数の友人に『高校生は帰った…』などとメッセージを送信していて、事件の隠ぺいを図ろうとした可能性も窺えます。
“神居大橋”の上で、いったい何があったのか…まだ多くの謎が残っています。
■《事件現場》
旭川郊外の景勝地「神居古潭」で、村山さんが、内田容疑者らに神居大橋の上から、石狩川に落とされ殺害されたとみられています。
捜査関係者によりますと、内田容疑者は“橋に置いてきただけ…”と、殺人容疑を否認しています。
元検事で、弁護士の中村浩士さんに解説してもらいます。
現場の神居古潭は防犯カメラがない、そして目撃証言もない…こうした状況ですが、どう殺人を立証するかがポイントになるかと思いますが、いかがでしょうか?
《元検事 中村浩士弁護士》
・殺害の疑いで逮捕されているが、殺意を持って突き落としたなどして…という証拠が必要で、共犯者の自白、あるいはスマホに緊迫した現場の状況が撮影されているかがないと、非常に立証が難しい事件だと思う。
・誤って転落したのか、揉み合っているうちに落ちたのか、あるいは亡くなったと思って突き落としたのか…それとも、殺害しようとして突き落としたのか。証拠上、こうした状況が不透明となると、殺害行為の立証のハードルは、とても高いと考えられる。
・溺死という死因がはっきりしているとすれば、それ以外の要因は考える必要がなくなるが、橋からどのように落ちたのか?誤って落ちたのか、殺意を持ってなのか…あるいは、それ以外の原因なのか。こうしたことは不透明のままと言わざるを得ない。
・現場の状況を語ること人物が、内田容疑者と共犯の19歳の女しかいないため、供述証拠が極めて重要になってくる。
・SNSでのトラブルをきっかけに、憎悪を募らせて殺意を抱くことに向かっていった…その過程としては、分かりやすい積み重ねはあると思うが、殺意を持って、橋の上から突き落としたのか。そこには、もう一段階、立証のハードルがあると思う。
・ご遺体から、ある程度、殺害行為の対応が推認できれば…ということも考えられるが、溺死ということから推認が難しいことも考えられる。
先週、事件現場の橋で、こうした動きもありました。警察の実況見分です。
人の大きさくらいの人形を向きを変えて、5回ほど橋から落としました。橋の上にはマイクのついた機械。落ちたときの音を測定しているようです。
そのため現場では、周辺のカメラマンに、スマートフォンをマナーモードにするように呼びかけるほどの徹底ぶりでした。
《元検事 中村浩士弁護士》
・内田容疑者と19歳の女が、橋の下から落ちる音を聞いていたはずなのに、救命措置を取らずに、その場から立ち去ったということを“殺意の立証”として使うのか…。
・あるいは、被害者を助けることができたのに救命しなかったことを、殺人よりも軽い罪として「保護責任者遺棄致死罪」も視野に入れているのかもしれない。
殺人容疑で逮捕された19歳の女は“成人”ですが【特定少年】という扱いになります。【特定少年】であることは、今後の処分にどう影響していくのでしょうか?
《元検事 中村浩士弁護士》
・【特定少年】とされる18歳、19歳については、少年事件では“成人”と扱われない。
・これは民法の規定と違う点だが、18歳、19歳は一定程度、重く処遇されます。
具体的には、拘留期間終われば、19歳の女は、家庭裁判所に送致されます。
ただし、殺人や保護責任者遺棄致死罪という重い罪に問われるとなれば、.検察に“逆送”されて起訴されることになる。
その場合は“成人”と同じ手続きで、刑事裁判に乗せるということになる。
殺人容疑の2人の拘留期間は7月3日までです。事件は全容解明へ動き出すのか、大きな注目が寄せられています。
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