昨夜午後11時14分頃、高知・宿毛市や愛媛・愛南町で発生した震度6弱の非常に強い地震。気象庁によりますと、四国地方で震度6弱を観測するのは1996年に震度階級が見直されて以降、始めてだという事です。

2024年は現時点で震度5弱以上の地震が23回…前年に比べると?

井上貴博キャスター:
森先生は、今まさに現地調査の最中に出演してくださっています。ですので、今お感じになっていることなどを含めて、細かくこれから伺っていきます。

まずは、17日に起きた地震です。地震の規模を示すマグニチュードは6.6、震源の深さは39キロ。四国地方で震度6弱を観測したのは、1996年以降初めてのことです。

震度分布を見ると、広い地域で強く揺れたというより、少し局所的にドーンと揺れたということなのかもしれません。

いずれにしても6弱というのは、カテゴリーでいうと非常に強い揺れに該当します。それだけの揺れが起きたなかで被害を最小限に食い止められた。これはやはり、日本が地震に強い国ということがいえるのかもしれません。

どうでしょうか皆さん、最近地震が多いなとお感じになっている方が多いと思います。

<2024年に入り相次ぐ地震>(気象庁HPより)
●1月1日 能登半島地震:震度7
●1月9日 新潟県中越:5弱
●3月15日 福島県沖:5弱
●3月21日 茨城県南部:5弱
●4月2日 岩手県沿岸北部:5弱
●4月8日 宮崎県南部:5弱
●4月17日 愛媛・高知:6弱

ようやく珠洲市では仮設住宅の入居が始まったという段階ですが、震度5弱以上の地震が、2024年は23回起きています。2023年は、同じ時期で集計すると1回でした。やはり2024年は感覚だけではなくて、数字でも地震が多いということが見えてきます。

日本はプレート境界に位置しているから地震が多いとよくいわれます。4月3日に地震が起きた台湾も、フィリピン海プレートなどに乗っかっているという位置関係です。

地震工学を専門とする愛媛大学の森伸一郎特定教授は「1995年の阪神・淡路大震災から、地震活動が活発期に入ったのではないか」とおっしゃっています。

愛媛大学 森伸一郎 特定教授:
私は地震学が専門ではありませんが、地震工学ということで、地震学も勉強しています。

今までいわれていることは、やはり日本では東日本を中心に地震が多いんですけれども、西日本では比較的少なかった。それが、1995年の阪神・淡路大震災を起こした兵庫県南部地震以降、西日本で大きな地震が続けて来ていると。

それはいわゆる、南海トラフの地震までの活発期が来る道筋であるという基本的な理解から、そのように申し上げました。

ホラン千秋キャスター:
森さんが研究されている地震工学というのは、どのような視点から地震を分析されるものなのでしょうか?

愛媛大学 森伸一郎 特定教授:
地震がどのように揺れるのか。それから、地盤が揺れて、地盤と構造物にどのように被害を与えるのか。そういうメカニズムまで含めて、いわゆる工学的、あるいは壊れないようにどのように設計するのかといった視点から、地震や地震被害を研究しております。

ホランキャスター:
今まさに分析が進められているところだと思うんですけれども、今回の地震について何か思われること、気づかれたことはありますか?

愛媛大学 森伸一郎 特定教授:
17日の夜、ちょうど研究室で台湾の地震調査の結果を整理していたんですけれども、松山にいてもぐらっと来て、一瞬構えるぐらいの揺れではありました。

ただ、揺れの長さがやはり短かった。実際に地震観測された波を見ても、せいぜい強い揺れは2秒から3秒なので、被害が出るか出ないかギリギリのところかなと思い、もし出たらいけないので調査に来ているということです。

ホランキャスター:
やはり、より大きな地震につながるのではないか、南海トラフにつながるのではないかなど、さまざまな心配をしていらっしゃる方がいるのかなと感じますよね。

スポーツ心理学者(博士)田中ウルヴェ京さん:
日本はどこに住んでいても、当事者意識がすごくあるのが地震だと思っています。どこにいてもできることは限られていると思っていますが、だからこそ「怖いな」と感じながらも、とりあえずできる予防策の1つとして、たとえば私はチェックリストを持っています。

何かあったときに焦ると、何をしていいかわからなくなるので、まずチェックリストを手元にいつでも出せるようにしておく。この人に電話する、ここに逃げるようにする、このクローゼットからこの荷物を出す…など、考えなくてもできるようなチェックリストを持っておくようなことも、準備としてはあると思います。何があってもできるようにすると心がけるだけでも、少しは恐怖が和らぐかなと。

ホランキャスター:
動転しているときだと、やるべきことが抜け落ちてしまうことは多々ありますものね。

今回の地震は短周期が特徴? リアス式海岸であることも関係か

井上キャスター:
今回の地震が起きた地域にはリアス式海岸もあって、リアス式海岸だと、津波が起きるとより被害が増幅しやすいというデータもあります。

そういったリスクも抱えた地域ですが、現地調査というのは、具体的にどういったことをなさるのでしょうか?

愛媛大学 森伸一郎 特定教授:
今回は、主に2つにポイントを絞って現地調査しております。

1つは地震記録の取れた地震計の周りで、建物、あるいはその他の地盤等がどのような被害を受けたか。

それからもう1点は、地震が起きると、揺れやすくて弱いところから被害が起きていきます。そういう意味で漁港、港湾、河川堤防、取り付け道路部、石垣など、いわゆる弱いところを中心に見ていっているということです。

井上キャスター:
それでわかったのは、どういったことでしょうか?

愛媛大学 森伸一郎 特定教授:
震度5強や6弱を記録した地震計のところに、今はまだ4点しか行けていないんですけれども、ほとんどその周りには地震被害がありません。

大きさでいえば5強、6弱、それから500ガル前後の大きな加速度は生じていたんですけれども、周期が0.2~0.3秒と非常に速い、カタカタカタカタというような揺れが2秒間続いたということで、瓦等への被害はありうるけれども、それ以上の被害は少なかったと理解できました。

井上キャスター:
周期の短い揺れというのが、今回の地震の1つの特徴と捉えても差し支えないですか?

愛媛大学 森伸一郎 特定教授:
そうだと思います。マグニチュード6.6ということでもともと長い周期は出にくく、比較的短周期のものが出るような地震なので、そういうことです。

もう1つは、先ほどおっしゃっていたリアス式海岸ということです。特に愛媛県の南の南予というところは宇和島、それから愛南町と、リアス式海岸の発達しているところですから、岩盤が割と海まで近づいてくることが多い。つまり平野部で、柔らかい、よく揺れやすいところが比較的少ないわけです。そういうところに、おそらくは集中して被害が起きているだろうと。

漁港なんかにいたっては宇和島、それから愛南町で、わずか1センチや2センチの岸壁の開きや、あるいは沈下、段差といったものが生じていました。したがって、震度5強以上の揺れは確かにあったのだと。

しかし、それがあわや20センチ、30センチと増えることのないのは、本当に2秒間ぐらいの強い揺れで終わったからだろうと理解できました。

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