山形県の山形地方裁判所で行われているひとつの裁判。


入院していた75歳の男が、リハビリを担当していた23歳の女性理学療法士にわいせつな行為をしたとして波紋を呼んでいる。

裁判では検察官が「反省しているのか」と男をたしなめる場面も。

詳細は、関連リンクにある最初の記事【「性的欲求がたまっていた」75歳の男が23歳の女性にした許されない行為…不同意わいせつ裁判で語られたこととは(山形)】

さらに、医療関係者などの実態を伝えた続報記事【「触られるのは珍しくない。でも笑顔で」75歳男が23歳女性理学療法士の下半身や胸を触る 不同意わいせつの裁判をきっかけに見えた実態(山形)】をご覧いただきたい。

これまでの取材で、県内の医療関係者などが「さわる」や「なめる」などの被害を受けたとの話が聞けた。

こうした状況に、関係機関はどう対処しているのだろうか。

山形県病院事業局に聞いた。ここは県立病院を管理監督する組織だ。

関係者がセクハラ被害にあった場合、どう対処しているのか聞くと「相談窓口があります」と答えた。県病院事業局は、2003年に相談窓口を設置し相談を受け付けているという。

では、これまで相談は何件あったのか。「ゼロです」と担当者。相談はないが、ハラスメントに関するチラシやパンフレットを配り、相談しやすい環境づくりをしているのだそうだ。

ならば、県内で、医療現場での不同意わいせつ裁判が起きていることを知っているのだろうか。聞いてみると「そうなんですか」と知らない様子だった。


続いては山形県医師会。約1700人の医師が会員の組織だ。県医師会にもセクハラ被害があった場合の対処を聞いた。


すると事務局長が「医師・弁護士・警察がメンバーの安全確保対策委員会があります」と教えてくれた。医療関係者が被害を受けた場合に備え、去年立ち上げたらしい。しかしこれまでセクハラなどの報告はない。

ちなみに事務局長に、委員会の対象となる医療関係者に理学療法士は含まれるかを聞くと「含まれると思います」とのこと。

では裁判のことを知っているかを尋ねると「把握していません」と言った。

県、県医師会ともに相談窓口や対策委員会などの仕組みは存在した。しかし現場の状況が把握できているのか、という点では疑問が残った。

県の担当者は「把握すれば対応します」としたが「把握できていないものは対処のしようが・・・」とポツリ。


23歳の女性理学療法士が被害にあった不同意わいせつ裁判は確かに進行中だ。裁判になっていながら把握できていない現状を、関係機関は考えなくてはならないのではないか。

75歳の男による不同意わいせつの裁判は、今月26日に山形地裁で判決が言い渡される。

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