山陽新幹線・岡山~博多開業までの5年間 貴重な車両走行シーンも
1975(昭和50)年3月10日。山陽新幹線の岡山から博多までの区間が開業しました。これにあわせて広島駅でも東京に向かう “一番列車”の出発式が行われました。
この年、広島カープは悲願の初優勝を飾りますが、当時のエースだった外木場投手は「優勝は新幹線のおかげで、遠征の移動が楽になった」と語るなど、山陽新幹線の全線開通は、東京と広島の時間的な距離をグッと縮めることになりました。
RCCのライブラリーに残された過去のニュース映像から当時を振り返るシリーズ「広島あのとき」の2回目は、山陽新幹線の工事着工から開業当日までの5年間(1970年~1975年)を振り返っていきます。
開業から5年前の鍬入れ式 トンネルを掘り進める様子も
1970(昭和45)年2月10日放送 / 二期工事始まる 広島駅で鍬入れ式
1970年2月の広島駅です。現在の南口側に初代の駅ビルが完成して5年後、山陽新幹線の岡山から博多間建設の二期工事が始まったことを伝えるニュース映像が残っています。駅のホームから少し外れた一角で起工式が行われました。当時の原稿によると、この広島駅を含めて4か所で同じような起工式が行われていたようです。
1970(昭和45)年2月10日放送 / 安芸トンネル掘削工事
同じ日に放送された映像には、すでに始まっていた「安芸トンネル」の掘削工事の様子を取材した映像も残されています。当時は人の手で掘り進められていたのでしょうか、多くの人が人力で掘り進めている様子が記録されています。
1971(昭和46)年12月1日放送 / 岡山以西で初めてトンネル貫通
山陽新幹線には数多くのトンネルがありますが、岡山から博多の区間で掘り進められていた数多くのトンネルの中で初めて貫通したことを伝えるニュース映像が残っています。1971年12月、広島と新岩国の間にある「古市トンネル」の貫通式です。
トンネルの両側から掘り進めていた作業員が貫通地点で出会い握手をしています。そして万歳のあと、お祝いのお酒が振る舞われています。
レール施設には国鉄“最新鋭”の運搬敷設機 架線工事も本格化
1973(昭和48)年7月17日 県内で初のレール敷設工事始まる
1973年7月、広島県内で初めて新幹線のレールを敷く工事が福山市で始まりました。当時のニュース原稿には、「国鉄最新鋭のスラブ運搬敷設機で、軌道スラブを次々と敷設していった」とあります。
軌道スラブとは長さ5メートル、重さ5トンあるコンクリート製の板のことでレールの下に敷くものです。この工法は、従来の砕石を使ったものに比べて安定性やメンテナンス性に優れ、山陽新幹線から本格的に採用され、その後の新幹線の主流となっています。
1974(昭和49)年6月5日放送 / 架線工事が本格化
開業を翌年に控えた1974年になると、新幹線に関連した様々な動きを伝えるニュース映像が増えていきます。こちらは「五日市トンネル」の入り口付近で行っていた架線を張る工事です。架線を巻いたドラムと作業員を積んだ車両が時速3キロというゆっくりとした速度で動いていき、作業員が架線を張っていく様子が映っています。
初代“ドクターイエロー”もテスト 貴重なディーゼル機関車走行シーンも
1974(昭和49)年9月2日放送/「ひかり」編成で福山に
開業半年前の9月になると、実際の新幹線車両を使った試験走行が本格化していきます。新幹線が「ひかり」編成で、岡山側から走行試験のために福山までやって来たことを伝えるニュース映像です。
沿線には子どもたちが新幹線に向かって手を振っています。福山駅に到着する新幹線の手前には福塩線のホームに停まっているのは福塩線の車両とみられます。
1974(昭和49)年9月6日/軌道試験車が初めて広島駅に
広島と福山の区間では敷かれたレールに高さの違いやゆがみなどがないか、ディーゼル機関車が黄色い試験車両を牽引してチェックしている様子が残っていました。この黄色い車両が軌道検測車で牽引しているのが「新幹線911形ディーゼル機関車」と呼ばれるもののようです。
新幹線の救援目的で製造されたディーゼル機関車で、最高時速は160km/hを誇ったようです。当時の原稿には広島から福山の間を平均時速30キロ程度で走り広島駅に到着したと書いています。この記事の筆者はまったく鉄道には詳しくないのですが、このディーゼル機関車が動いている映像は貴重だという声をいただいています。
1974(昭和49)年9月16日放送 福山~広島間で架線テスト
つづいても黄色い車両が登場します。こちらは初代「ドクターイエロー」で、0系新幹線の試作車をベースに作られたT1編成というもののようです。新幹線0系と同じく最高速度200キロで走行しながら電力・信号・通信・無線などの電力関係の検測を担当していた車両だそうです。
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