7月に開幕するパリオリンピックで唯一、新競技として追加されるブレイキン。
DJが流す音楽に合わせ1対1で即興で踊り、その技を競います。
ブレイキンの魅力に取りつかれ、県内でその普及に尽力する長野市のダンサーの挑戦です。


パリオリンピック開幕まで26日で1か月。

現地では、競技会場の整備が急ピッチで進められています。

今大会の特徴が、パリ市内の観光名所を活用して会場が設置されること。

その一つが、中心部のコンコルド広場で行われる新種目のブレイキンです。

音楽に合わせ1対1でダンスを披露。

基本となる4つの要素を組み合わせ、独創性を出すことが求められ、ジャッジがテクニックや音楽性などを採点します。

日本のエースとして期待されるのが、大阪出身の22歳、ダンサーネーム・シゲキックス。

2023年に中国で開かれたアジア大会で金メダルを獲得し、世界選手権でも表彰台に上る実力の持ち主です。

体格の差は関係なし。

各自が好きなファッションで、自身を表現するスポーツで、日本勢の活躍は世界トップレベル。

複数のメダルも期待されています。

「はじめていきまーす、よろしく!」

長野市飯綱高原にあるグリーン・ヒルズ中学校。

「ブレイキン始めていくけど見たことある人?」


この日、講師として招かれたのは、ブレイキンダンサーの真鍋謹良(まなべのりよし)さん37歳。

ダンサーネームはチョッパーです。

「4つの要素からブレイクダンスがなっていて、これを自由に組み合わせて、さらに自分らしさ、個性を足して踊れるのがブレイクダンスの良さです。今から踊るので、ちょっと見ててください」

ミュージシャンのバックダンサーなどプロとして活躍したのち、4年前に地元の長野市に戻り、ダンススクールを立ち上げました。


日本ダンススポーツ連盟のブレイクダンス部長野県部長を務め、パリオリンピックの代表選手をサポートするチームの一員でもあります。

今は、県内の小中学校でダンスの講師としてひっぱりだこ。

「どん、ジャンプ、斜め前に出す」


ダンス経験は関係なし!

とにかく一緒に体を動かすことから始めるのがチョッパー流。

「ギャングたちが始めたダンスなので舐められるじゃん、だから絶対負けないっていう前のめり、だから猫背!」

生徒と同じ目線に立ち、分かりやすい言葉でレクチャー。

「じゃあ次はこうやって…」

休む間もなく、どんどん次のステップへ。

ブレイキンの見せ所、回転技にも挑みます。

「そうそうそうそう!うまいね」
「構えてくるくる!はい!」

たった30分、基本の動きをマスターさせたら、曲に合わせ、本格的なブレイキンに!

「個性が大事だからブレイキンは自分は自分らしく!」

「ガンガンいかないと教えられない。50分しかないときは」
「何事も一生懸命やろうっていうのを俺らは教えたい」
「ブレイキンに会うまで、僕チョットそれができていなくて、ブレイキンに出会ってかなり変わったんですよ、人生が」

長野市出身の真鍋さん。

中学高校とバスケットボールを続けていましたが、どこかで本気になりきれない自分に悶々とした気持ちを抱いていたといいます。


「なんか燃え尽きない悶々としていた時期、それがずっと続いていた」
「ぶつけるところがなくてつまらなかったんですよね日々が。そうなったときに仲間と夜遊びしたりするのが逃げ道だったのかなと」
「俺って何やってるんだろうっていうのがあって、それが変わりましたね、ブレイキンに出会ったことで」

大学時代、本格的にブレイキンを始め、見る見るのめり込んでいきました。

サークル活動だけではなく、全国で開催されるバトルにも参加し、同じ道に打ち込むかけがえのない仲間と出会いました。


「そのままでいいんですよ、僕のままでいいし、僕の感情でいいし、僕の姿かたちでいいし、僕のスタイルでいいし、それまでは僕、そういうのに出会ったことがなかったんですよね」

レッスンの締めは、2つのチームに分かれ、オリンピックと同じバトル形式にも挑戦。


自分たちの個性を大切に、互いの良さを認め合う、ブレイキンの真髄に触れてもらいたいと考えています。

「みんな個性あるじゃん、お父さんお母さん違うでしょ、顔も違うでしょ、手の長さも違うじゃん、そういうの全部生かせるダンスなのブレイキンって」
「個性、みんなこれからどんどん出てくると思うからそれを大事に。ブレイキンじゃなくてもそういうの大事にしてほしいなと」

女子生徒:
「ダンスが私は凄く苦手なんですけど、リズムに乗って体動かすのは楽しくて」
「なんか体が気持ちよかったです」

男子生徒:
「自分のスタイルをダンスで表してダンスの輪の中で語り合える文化はいいと思った」


現在は、県内10か所のスタジオで、5歳から大人まで80人を指導する真鍋さん。

この日は、未来のオリンピアンを目指し特訓を重ねる選抜メンバーのレッスンです。

「ぱちって止まらないフリーズも覚えたいのよ、落ちそうで落ちないヌメヌメの」

常に新しい技を取り入れ、共に成長しあうレッスンを目指します。

生徒:
「もっと成長したいし、他の人からも知られたいしうまくなりたいし」
「(ブレイクダンスは)大好きです」

真鍋さん:
「心がぱちっと変わるとすぐに踊りも変わって子どもってそこが一番面白いところ」

スクールには、全国の大会に出場し、日本代表強化選手に手が届きそうな生徒も出ています。


真鍋さん:
「その子がまた次世代を育ててくれる環境が長野に整っていくとうれしくて」
「今は本当に種まきです」

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