7月1日で能登半島地震の発生から半年。「液状化」に見舞われ、いまなお、発災当時のような厳しい状況が続く町を取材しました。
能登半島地震からあさってで半年。輪島朝市の周辺では、6月から建物の解体などの費用を行政が負担して行う「公費解体」が始まりました。
各地で復興に向けた動きが進む中で、今後の見通しがつかない地域も…。
砂丘を切り崩して作られた内灘町は震源から100キロ以上離れていますが、「液状化」で大きな被害が出ました。
地震の揺れで砂の粒子が分離し、地盤が液体のようになる「液状化」は、日本最大の海抜ゼロメートル地帯を抱える東海地方でも、南海トラフ巨大地震で大きな被害が出ることが想定されています。
家に被害はなかったが…土台ごと水平方向に約80センチ動く
特に西荒屋地区は、液状化に伴って地盤が横方向にずれる「側方流動」で、被害が拡大しました。
(西荒屋地区の住民)
「ここの配管がずれているんですよ」
液状化により外れてしまった、下水道の配管。
家自体に大きな被害はありませんでしたが、土台ごと水平方向に約80センチ動いていました。
下水管は町全体でも損傷していて、復旧の見通しは立っていません。
(西荒屋地区の住民)
「されど半年なんだけどね、何も変わらない」
長さ5メートル、直径80センチの杭を25本打っていた家も
270世帯ほどの西荒屋地区で、いまも住み続けられているのは約70世帯だけ。津幡博さん(72)は、ことし2月下旬から近くの県営住宅で避難生活を続けています。
約40年前に建てた自宅は一見、ダメージはなさそうですが、床に乾電池を置いてみると…どんどん転がり、勢いが増していきます。
津幡さんは自宅周辺の土地に液状化のリスクがあることを知って、家を建てる際に長さ5メートル、直径80センチの杭を25本打っていました。
この杭によって、何とか家は支えられている状態ですが液状化で地面が下がり、大きな空洞が…。
再び液状化が起きるリスクも抱えています。
(津幡博さん)
「液状化に対する対策はないと思いますね。私がやった以上の対策をしないと。どの程度の杭を打てば大丈夫か。保証がないでしょ」
津幡さんが「みなし仮設」として県営住宅に住めるのは原則、1年間。
「元いた場所に戻りたい」と答えた人は7割
町はボーリング調査をした上で、復興の方針を決める予定ですが、液状化の被害軽減が見込める地区全体での「地盤改良」には、年単位で時間がかかるといいます。
(津幡さん)
「どこかへ…なんというか、内灘町から出るのか、どうしようかなと考えています」
西荒屋地区から避難した住民へのアンケートで「元いた場所に戻りたい」と答えた人は、7割にのぼりました。
住み慣れた場所に戻ることができるのか。見通しがつかない中で時間は過ぎていきます。
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