「日頃の運転態度が、必然的に事故を招いたように思えるが…」

小学3年生の女の子がトラックにはねられ死亡した事故の裁判で、裁判官は被告の男に、こう問いかけました。

起訴状などによりますと、富山県の無職、榊泰雄被告(60)は、ことし4月9日午後9時ごろ、愛知県飛島村大宝で大型トラックを運転し、コンビニエンスストアの駐車場に入ろうと左折したところで、歩道にいた小学3年生の女の子(8)をはねて死亡させた過失運転致死の罪に問われています。

6月27日から名古屋地裁で始まった裁判。

スーツにマスク姿で現れた榊被告は、起訴内容について「間違いありません」と認めました。

“信号無視”に“速度違反”で検挙 “一時停止”も日常的に怠っていた被告

被告人質問では、榊被告が事故を目撃したコンビニ店員に「女の子をひいた」と声をかけられるまで、自身が起こした事故に気付いていなかったことや、日常的に現場のコンビニ駐車場に入る際、一時停止を怠っていたことなどが明らかになりました。

また、榊被告は2017年から立て続けに、「信号無視」と2度の「速度違反」で検挙されていました。

(裁判官)「日頃の運転態度が必然的に事故を招いたように思えるが、なぜか」

(榊被告)「長い年月運転していて、それが当たり前になっていたんだと思います」

裁判官の問いかけに、榊被告はこう答えました。

裁判には、死亡した女の子の父親が出廷。

女の子が日頃から、体の弱い母親の手伝いをしていたこと、飼っていた犬の世話を積極的にしていたことを述べたほか、事故が起きた日の母親とのやりとりも明かしました。

「トイレをさせてあげたい…」 8歳女児は母親にそう言って家を出た

(女の子)「家の前で、ペットのトイレをさせてあげたい」
(母親) 「もう夜だからだめだよ」
(女の子)「トイレだけ」

このやりとりの後、犬を連れて自宅を出て事故に巻き込まれました。

また父親は「交通事故とは言いつつも、殺人と何一つ変わらない。許せない」などと法廷で語りました。

検察側は「被告は過去数年で立て続けに交通違反をしたにも関わらず、常習的に一時停止を怠るなど、基本的な注意義務を怠った」などと指摘し、禁錮2年6か月を求刑。

一方、弁護側は「被告は自身が起こしたことの重大性と向き合っており、今後、車は運転しないとしている」などと主張して、執行猶予付きの判決を求めました。

判決は、7月18日に言い渡されます。

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