“思い出に満ちた訪問”も最終日を迎えました。イギリスを公式訪問中の天皇皇后両陛下はまもなく、ともに留学経験のあるオックスフォードへと向かわれます。これに先立ち、陛下が取材に応じられました。
「歴史あるロンドンの建物の荘重な佇まい、テムズ川、そういったものを眺めながら“思い出の地”に戻ってきたという印象を強く持ちましたし、(多くの人から)『おかえりなさい』と言っていただいた。本当にこれは私は嬉しかったです」
この人との“思い出”も、数えきれません。
イギリス王室の礼拝堂、「聖ジョージ礼拝堂」に眠るエリザベス女王です。
即位後の再会は叶いませんでしたが、墓に花を手向け、「心からのお礼の気持ちで参拝をさせていただいた」と語られました。
そして、きょう。
陛下が雅子さまとともに訪れるのが、“思い出の地”オックスフォード。
雅子さまは外務省時代、オックスフォード大のベイリオル・コレッジに留学。陛下も2年間、マートン・コレッジに留学されていました。
当時、陛下の身辺警護にあたったロジャー・ベーコンさん。元ロンドン警視庁の警察官で、亡くなる前、JNNのインタビューにこう語っていました。
陛下の警護にあたった ロジャー・ベーコンさん(2019年)
「彼は普通の人間として過ごすことを望んでいました。ただの学生としてね」
大学近くのパブ。陛下は、日本で一般的な「ラガー」ではなく、「ビター」と呼ばれるイギリスの典型的なビールを楽しまれていたといいます。
陛下の警護にあたった ロジャー・ベーコンさん(2019年)
「彼はジョークが本当に好きで、笑って楽しんでいましたよ」
陛下の求めに応じ、「ヒロ」と呼んでいたと明かすベーコンさん。
警護のほかにも、史料探しを手伝ったり身の回りのことを手ほどきしたり。
陛下は彼らへの感謝を添えて、著書にこう綴られています。
「彼らが一週間交替で、私の隣の部屋で日夜警護に当たってくれた。警護という役割を越えて、イギリスのことを知るのには絶好の先生でもあった」
それからおよそ40年。実は今回の訪問で、陛下はベーコンさんの妻とも、プライベートな場で面会を果たされました。
陛下は著書で、複雑な思いも明かされています。
「再びオックスフォードを訪れる時は、今のように自由な一学生としてこの町を見て回ることはできないであろう。おそらく、町そのものは今後も変わらないが、変わるのは自分の立場であろう」
1993年、陛下は雅子さまと結婚。2019年には第126代天皇に即位されました。
今回、留学生ではなく、国賓として再びイギリスを訪れた陛下。その思いは…
「今回の私たち2人の国賓としての訪問が、今後の日本・イギリス両国の友好親善に貢献することを心から願っております」
まもなく両陛下は、オックスフォードへ向かわれます。
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