北海道南部の厚沢部町などでは、地域の農業と漁業をつなぐ新たな特産品を生み出そうという取り組みが進められています。

道南にある、道の檜山振興局です。水槽のウニが白い歯を伸ばしているのは…アスパラです。

 道南のアスパラ農家たちが、新たな特産品として売り出そうとしているウニなんです。

厚沢部町などで生産が盛んなアスパラ。

昼と夜の寒暖差が激しく、甘みが強いのが特徴で、北海道内でもトップクラスの収穫量ですが、長年、農家たちを“後ろめたい気持ち”にさせてきた事情がありました。

 檜山南部立茎アスパラガス生産組合 根津貴浩組合長
「全部長さが違うので、このままじゃ施設に出せないので規定の長さに揃えるのにプツッと。こんな感じで施設に出す。で、あまった物が“切り下”」

厚沢部町をはじめ、近隣の6町のアスパラ農家から持ち込まれる加工場でも…。

アスパラは出荷のために、25センチに揃えられますが、切り落とされた“切り下”と呼ばれる部分は、これまで大量に廃棄されていました。

 檜山南部立茎アスパラガス生産組合 根津貴浩組合長
「こういう上手いものを結局、廃棄するのであれば、もったいないなって気持ちになるし」

 なぜ、農家たちを後ろめたい気持ちにさせるのか…“切り下”を食べてみました。

藤田忠士記者
「えっ、美味しいじゃん。固くない。おいしい。普通に食べられるでしょ…おいしいのにもったいない…」

そんな“切り下”を有効に活用できないか…根津さんの頭に浮かんだのが“ウニ”でした。

 檜山南部立茎アスパラガス生産組合 根津貴浩組合長
「ウニ育てるのに“キャベツ”を食わせて育てるところがあるんだったら、こっちは“アスパラ”を食わせてやってみようと」

そうして生まれた「アスパラウニ」。

 津さんの相談を受けた檜山振興局が、八雲町でウニの養殖をしている漁業者との間を取り持ちました。

ウニには、試験的に餌のコンブがなくなる冬の間、アスパラの「切り下」を食べさせて、育てています。

道檜山振興局 水産技術普及指導所 篠原陽専門普及指導員
「餌があげられていなかった期間と、アスパラを使うところがマッチして使うことにした」

“アスパラウニ”は見た目は、オレンジ色で通常のウニとあまり変わりませんが、肝心の味はどうなんでしょうか?

 藤田忠士記者
「青臭さとかはまったくありません。濃厚で美味しいウニです」

まだまだ試験段階の「アスパラウニ」ですが、地域の農業と漁業をつなぐ新たな特産品に育ってくれれば…と、根津さんらは願っています。

 

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