例年より早く『手足口病』が流行し始めています。そこまで心配することはなく重篤化することは少ない病気だということですが、どんな病気なのか?大人も注意が必要ということで、手足口病に関する様々な情報をまとめました。

「手足口病」関西の全府県で警戒レベル 例年より早い流行

 手足口病の流行状況を見ていきます。定点あたりの患者報告数が5.0を超えると警報レベルとされていますが、6月10日~16日のデータでは近畿2府4県全てがこの警報レベルとなっています(大阪7.54人、兵庫8.61人、京都6.70人、滋賀7.56人、奈良8.85人、和歌山6.40人)。全国でも21府県で警報レベルになっています。この流行が例年に比べると少し時期が早いということです。

 大阪府では、例年では8月や9月の夏もしくは秋ごろから増えることが多かったですが、今年は5に急増。時期も早い上、その人数も多いということです。

 そして今後の予測は難しいということです。早い時期に増え始めましたが、ピークが通常通りの時期と考えた場合は、今後もっと増えてもおかしくないのです。一方で、流行時期が早まっただけであれば、早く収束する可能性もあるということですが、ここは専門家でもわからないということです。

「手足口病」の症状は?感染経路は?

 次に手足口病に感染した場合の症状についてです。

 症状は名前の通りで、まさに手足口に出るのですが、手や足、足の裏に発疹が出たり、口の中が真っ白になったりします。それほど強くない喉の痛みや発熱も出ます。そして感染者の8~9割が4~5歳までに感染すると言われています。

 感染経路は飛沫感染や接触感染で、保育園や遊ぶ場所で感染が広がりやすいといいます。近くで話すなどして唾液がついてしまうと感染します。また接触感染ではオムツ替えのときなどに大人にもうつるリスクがあります。ウイルスが入れば入るほどリスクは大きくなるということで、手袋・マスク・手洗いなどを徹底するのが理想だということです。家庭内でここまで気を付けるのは大変かもしれませんが、少しでもリスクを減らすため、知っておいて、できる範囲でやっていくことが重要です。

 ちなみに手足口病は、英語でも『Hand(手)Foot(足)and Mouth(口)Disease(病気)』とそのままの名前なんだそうです。

 潜伏期間は3~5日間。ただ、感染力が強まるのは発症してからだということです。そのため例えば、保育園で流行っているからといって、発症していない子どもについても感染リスクが高いから隔離しなければ…ということは必要ありません。あくまでも発症してから感染力が比較的高くなるということなので、潜伏期間についてはそこまで意識しなくてもいいということです。

 手足口病は、エンテロウイルスというウイルスが主になるそうですが、「エンテロ=腸の」という意味で、お腹で死滅しないために便に出てしまうということです。そこから広がってしまうリスクがあるので知っておいてください。

「手足口病」なぜ急増?

 そして今年の流行時期が早い理由についてです。はっきりとはわかりませんが、推測できる理由の1つとして考えられているのは、新型コロナウイルスの影響だそうです。

 そもそも研究などで大人を調べると、8~9割の人は手足口病の感染経験者で、抗体を持っているということです。つまり手足口病の感染は多くの人が通る道で、一度感染すると免疫も少し強くなるということです。

 しかし、行動制限があったり、マスクをしたりしていて、感染者が多くありませんでした。そのため現在3~4歳くらいの子どもは感染していない子どもが多く、去年から感染が増えてきているのは、その影響が大きいのではないかということです。

 つまり、ウイルスが強くなって感染が急に広まっているということではないと思われるので、今回の流行についてはそこまで心配しなくても良いのではないか、と大阪公立大学医学部の城戸康年教授は教えてくれました。これは専門家によっても意見が違うと思いますが、免疫を子どものうちに確保しておいた方が良いという考え方もあるということです。

大阪公立大学の城戸教授に聞く「手足口病のギモン」

 この他の様々な疑問についても城戸教授に聞きました。

 まずは「手足口病は一度感染すれば大丈夫?」という質問について。城戸教授によりますと、感染すれば免疫ができて防御力は高まりますが、再感染はあり得るということです。なぜならば新型コロナの際に話題になったのと同様に、手足口病のウイルスにも何十何百もの種類があり、極端に言えば、毎日変異型が出ているというものだそうです。そのために再感染はないとは言い切れません。また免疫も次第に弱まっていくため、注意が必要だということです。手足口病については予防するワクチンもないということです。

 続いては「感染後はいつから幼稚園・保育園・学校に行っていいの?」という質問です。これに関しては城戸教授によりますと、元気になったらいつでもいい、ということです。学校保健安全法での出席停止期間の指定はありません。厳密に言うと、便へのウイルスというのは1か月くらいは残り、飛沫も2週間くらいは残りますが、すれ違っただけで感染するほどの感染力ではないということです。

 子どもは接触が当たり前なので、どうしても感染が広がってしまうことはありますが、そこは考え方の問題で、そこまで徹底して絶対に感染してはいけない、と思うかどうかというところのようです。

 次に「夏の三大感染症とされる手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱の違いは?」についてです。どれも発熱や喉の痛みがあります。

 この見分け方について城戸教授に聞くと…その答えは「見分ける必要なし」というものでした。そもそもこれらにはワクチンや治療薬がなく、見分けたとしても対症療法しかありません。海外では寝てたら治ると言われる病気だそうです。子どもの場合は特に怖がる必要はないということです。

 病院で医師が診察する際には、重症になる別の病気が隠れていないかを見ていて、まれに脳炎・髄膜炎などの重症化するものがあるのだそうです。頭痛がかなりひどい、だるそうにしている、高熱が長く続いている、いつもと様子が違う、こういうところを医師は確認していて、自宅で様子を見るという場合もそういったところについては気にしてほしいということです。

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