25日は給料日の人も多いのでは。街で聞くと・・・
街の人「いいと思いますよ、手取りが増える、せっかく働いたんですからね」
街の人「いや、ややこしいばっかり」
街の人「ラッキー(笑)」
さまざまな声が上がるのは…6月から始まった「定額減税」。
どんな制度なのか?その狙いは?一方で、悩む人たちも!わかりやすく解説します!
ざっくりと制度を知っている方、そして、給与が支払われてすでに減税されたなんて人もいると思いますが、まずは概要からおさらい。
そもそもの狙い、政府はこう言っています。
「賃金が上がることが当たり前だ」という前向きな意識を社会全体に定着させること。
所得が上がる→家計が豊かになる→消費が増えて、また所得が上がる…という好循環を目指したものなんだそうです。
減税されるのは1人4万円。
内訳は所得税が3万円、住民税が1万円となっています。
さらに、減税される金額は扶養家族の数に応じて増えるんです。
扶養家族が1人だと、倍の8万円、扶養家族が2人だと3倍の12万円に。
ただし、年間の給与収入が2000万円以下という制限があります。
会社員や公務員などのサラリーマンであれば原則申請などは不要で、給与から引かれる税金が減額されるんです。
ただ、この減額の仕組みはちょっと複雑です。
まず、1人あたり3万円の所得税減税。6月分の給与から減税されるのですが、減税しきれなかった分は、7月以降の所得税からも減税額が累計で3万円になるまで減税されます。
毎月支払っている所得税の額にもよりますが、6月分の手取りが3万円増える、という単純な話ではなく、何か月かに分けて3万円になるまで続ける、ということなんです。
例えば、扶養がなく、毎月の所得税が2万円という人は6月分の徴収は0円に。
残りの1万円分は7月に減税され、7月分の徴収額は差し引き1万円となります。
そして住民税ですが6月分は徴収されません。減税後の年間の金額を7月から2025年5月までの11か月間、均等に分けて徴収されます。
例えば、扶養がなく、毎月の住民税が2万円という人は年間の住民税は24万円に。
この24万円から減税の1万円を引いた23万円を11か月で均等に割った2万900円あまりが7月以降徴収され、月単位で見ると徴収額が増えたように見える場合もあります。
仕組みは複雑ですが、物価高が続く中、手取りが増えるのは、うれしいことではあります。
ただ…その影で頭を抱えている人たちもいるんです。
社会保険労務士法人 人事情報システム 藤田良三代表
「減税される従業員のみなさんにとったらええかもしれないですけど、企業で給与計算を行っている人に…とってはすごい負担ですね」。
企業の総務・人事部門を請け負う山口市の社会保険労務士法人「人事情報システム」。
藤田代表を含め従業員7人で、県内企業約50社・2000人分ほどの給与計算を担っています。この日は、25日を給与の支払日にしている企業の分の計算に追われていました。
「定額減税」では減税額を給与明細に明記することが義務づけられています。
実際に制度に対応した給与明細を見せてもらいました。
藤田代表
「(所得税と住民税は)0です、ここは、もう抜けてます。そしてこの抜けた、住民税は6月が0なんで何もないですけど、源泉所得税のいくら定額減税で減税なりましたってのは、この欄外にお知らせという形で出ます」
「定額減税」への対応で手間どったのは、扶養の人数を改めて調べることだったと言います。
さらに制度自体が分かりにくいため、税理士事務所の職員を招いて研修会を開いたり、制度に対応した給与計算ソフトの使い方を覚えたりとやることが山積みでした。
制度の詳細について周知が不十分な中唐突に始まった印象で、企業からは「とにかく分かりにくい。準備不足になった」という声が多く上がっているということです。
藤田代表
「簡単なのは前もやった給付、もう3万円なら3万円ポンと1人あたりに配る、こういう給与計算でそれも何か月に分けてやるっちゅうのは、もう大変ですね、もう各企業の負担が大きい」
1度かぎりの取り組みで狙ったとおりの賃上げの流れにつながるのか。
藤田代表は懐疑的です。
同じような声は山口市の呉服店でも上がっています。
ふじもと 藤本利明社長
「給与計算は結構ややこしいっていうふうに聞いてます。私がやらないんで詳しくは分からないんですけど、けっこう大変だっていう風に聞いてます」
従業員は20人弱。
給付ではなく、なぜ複雑で手間のかかる制度にしたのか、疑問を感じています。
ただ、手取りが増えるのはうれしいことであるのは間違いないようで…。
従業員
「とてもうれしいです。これから頑張っていきたいと思います。貯金して、将来的に自分のやりたいことだったり、資格でしたり、あとは旅行、趣味にあてたいと思います」
まちで話を聞いてみても…
「預金して好きなときに使おうかなと思います。生活もね、大変だから」
「自由なお金なので全部もう好きなものを買って」(記者「1年かぎりとなっているが、続いたほうがいい?)「できればずっと…お願いします」
「非常にいろんな物価が高くなって、食費も何も上がってますんで、そういったところでは助かりますね」
一方で、ここでもやはり不満の声が聞かれました。
「ほかのとこで例えば保険料とか上がってるから。4万円って言ったって、実質4万円じゃないし」
「特に若い人なんかは、給付でもらった方が実感としてうれしいような気はします」
「実感はあまり感じないですね、おまけに期限が1年間ですかね。使うんなら子どもにやっぱり使うぐらいですかね」
長く続く物価高。
「実質賃金」は25か月も連続のマイナスとなっています。賃上げが追いつかないと消費行動、ひいては経済の活性化につながりません。この定額減税がどれほどの経済効果を生むのでしょうか。
(2024年6月19日 テレビ山口「mix」より)
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