7月3日に発行が始まる「新紙幣」。2004年以来約20年ぶりの新紙幣発行です。新紙幣になる理由、触って・透かして・見てわかる最新技術、さらに改刷での大切な注意事項を日本銀行に聞きました。

現在有効な日本銀行券

まず変わるのは金額表記。これまで漢数字で書かれていた金額は外国人にも分かりやすいユニバーサルデザインとしてアラビア数字に代わります。

肖像も変わります。一万円札は福沢諭吉から渋沢栄一に。渋沢栄一は、日本初の銀行である第一国立銀行をはじめ約500もの企業の設立などに関わった人で「近代日本経済の父」と称されています。

五千円札は津田梅子。日本で最初の女子留学生の1人で、近代的な女子高等教育に尽力しました。

千円札は北里柴三郎。破傷風血清療法を確立し、伝染病研究所などを創立しました。

2023年に見つかった偽札681枚 偽造防げ!新紙幣の最新技術

新紙幣への改札の主な目的は偽造防止です。

日本銀行・黒住卓司長崎支店長:
「去年一年間で全国で681枚、今年の1月~3月の間だけでも204枚のニセ札が見つかっている。20年前の技術で偽造防止を続けていくことは難しい。今回約20年ぶりに改刷を実施させていただく」

新しいお札には、最新の偽造防止技術が使われています。

黒住長崎支店長:
「“3Dホログラム”を、世界で初めてお札の中に導入したということがまず1つのポイント。色んな角度から見ると見え方が変わってくる。非常に高度な偽造防止技術になっていると思っています」

透かし部分の肖像画の背景も変わりました。これまでは無地でしたが、非常に細かな模様が描かれていて、世界トップレベルの印刷技術が活かされています。

さらに角度を変えると、数字が浮き出てくるものが…。
特殊なカメラで拡大すると──『NIPPONGINKO』とアルファベットで書かれた文字を見つけました。

特殊な発光インクで、紫外線を当てると光る部分もあります。

見るだけでなく、触ってわかる部分も。

友成由紀アナウンサー:「凹凸を感じます」

識別マークとして書かれた11本の斜線部分や数字は、インクが盛り上がっていて、触るとデコボコしています。

黒住長崎支店長:
「色々な技術を今回導入しています。触ってわかる、透かしてわかる、見てわかる、そして道具を使ってわかる。新しい券を楽しんでいただければ」

「古いお札回収します」は詐欺!

新紙幣発行後も、現在のお札は使えます。詐欺には注意が必要です。

日銀 黒住長崎支店長:
「“古いお札は使えなくなるから回収しに行きます”っていうような電話等があったら詐欺です。そういうことは決してありませんので、注意していただければと思います」

年度ごとのお札の発行高

グラフは「年度ごとのお札の発行高」つまり「世の中に出回っているお札の合計額」です。キャッシュレス化が進む中でも紙幣の発行高は年々増加しており、2004年に発行が開始された現在のお札の発行高は昨年度、当初の約1.6倍でした。お札の需要が根強いことを示しています。

自動精算機などで“新紙幣への対応コスト”が発生

県内6カ所でセルフガソリンスタンドを運営しているフジオカは、来月の新紙幣発行を前に、ことし3月から4月にかけて、約30台の自動精算機を新紙幣対応機種に入れ替えました。

フジオカセルフ城山SS 中村洋輔所長:
「1SSあたり約200万弱コストがかかっていまして、会社全体では約1,000万ほどかかっております。ハイブリッド車、電気自動車が普及している中で、ガソリンの販売数量も減少していますので、このコストっていうのはかなり大きなダメージになっています。」

キャッシュレス化は進んできてはいるものの、利用者の《約6割が現金払い》だと言います。

中村洋輔所長:
「現金をまだご利用される方も多数おられますので、新紙幣ですね、もう全て対応ができるように整ってますので、安心してお客様がご利用できるかと思いますので」

自動販売機1台に10~20万円 部品供給も追いつかず

県央と長崎市内を中心に、約350台の自動販売機を設置する長崎市の古田勝吉商店は、ことし3月以降、新紙幣に対応できる部品への交換に追われています。

古田勝吉商店・古田雅義代表取締役社長:
「部品は順次交換していくという形ですね。一度に替えるっていうのはなかなか難しいので、場合によっては1~2年というスパンでちょっと考えてから交換しないと難しいかなと。」

自動販売機1台あたり、交換部分は約10~20万円。この商店の場合は、メーカーが代金を負担してくれますが「部品の供給が追い付いていない」と言います。

古田社長:
「後手後手になりそうなんで皆様には申し訳ない。本当は変えずに済むのが一番いいんですけど、実際、そこ(新紙幣対応)で線引きがされてしまうと売上に直結してしまう。どうしても対応せざるを得ないのかなというところですね」

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