蚊の吸血実験について説明する理化学研究所の佐久間知佐子上級研究員=18日、神戸市

 デング熱などの感染症を媒介するネッタイシマカが血を吸う際、血液が固まる過程でできるタンパク質の断片によって「満腹」を感じ、吸血を止めることを発見したと、理化学研究所などの研究チームが20日付の米科学誌電子版に発表した。  吸血抑制成分を作る腸内細菌を蚊に定着させることで、血を少量しか吸わない蚊を生み出せる可能性がある。ネッタイシマカのほか、日本に生息するヒトスジシマカへの適用も考えられ、理研の佐久間知佐子上級研究員は「蚊が媒介する感染症を減らす方法の開発につながる」としている。  チームは、吸血を促進する成分を入れた人工的な溶液に血液が凝固したときにできる上澄み部分である血清を入れると、吸血量が減ることに着目。血清の成分を水への溶けやすさなどで分類し、それぞれの種類ごとに蚊に吸血させた。  満腹まで吸血した蚊が著しく少なかった種類を解析したところ、血液凝固の過程で作られるタンパク質の断片「フィブリノペプチドA(FPA)」が含まれていることを発見。FPAが吸血を抑制すると特定した。


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