バイ貝がピンチです。能登半島地震からまもなく半年ですが、夏がシーズンの地震で漁に使うカゴがなくなってしまい、富山湾の名物料理「バイ飯」を出せない店も出ています。
夏がシーズンの富山湾の味覚「バイ貝」。魚津では、バイ貝を炊き込みご飯にした「バイ飯」が人気です。しかし、ことしは…。
看板:「本日、バイ飯定食はお休みです」
看板料理のバイ飯を出せない事態に…そのわけは?
魚津漁業協同組合 濱住博之組合長:「能登半島の先端の近いところで操業していたということになりまして、そこがいい漁場なんですけども、そこが壊滅的な被害を受けたのが大きな痛手ですね」
もともと「バイ飯」とは魚津の漁師の賄い飯で一般に提供されることはありませんでしたが、魚津漁協が新たな名物になればと2014年に開催された全国各地の「ご当地魚」のグルメコンテストに出品。見事、準グランプリを獲得したことで商品化され今に至ります。
地震で消えたカゴはいずこへ…
能登半島地震のあと、富山湾には続々と異変が。ベニズワイガニ漁が壊滅的な不漁となったのを皮切りにシロエビも解禁から2か月以上たった今も水揚げが伸び悩んでいます。
そしてここへきてバイ貝も地震の影響で獲れなくなっているのです。
バイ貝は水深350メートルから1550メートルに専用のかごを沈めて一晩待ち、漁獲しますが、そのかごが地震でなくなってしまったのです。
漁師 水島大和さん:「バイ籠は6本やっていたんですけど、そのうちの5本が沈んでしまって今3本引きあがったんですけどまだ2本は海底に埋もれたまんまです」
1本あたり150個ほどのかごがついているロープで失った籠はおよそ300個。漁師の水島さんは地震から5カ月半たった今も籠を探しています。
漁師 水島さん:「バイの入る入口があるんで、ここに餌、針にかけて匂いにつられてバイが入る」
記者:「餌って何かけるんですか」
漁師 水島さん:「サバですね」
記者:「だいたい一つのかごにどれくらいのバイが入るんですか」
漁師 水島さん:「多かったらここくらいまでパンパンに入る、少なかったらゼロです、消耗品なんで操業するたびに作ったかごが無くなったりこわれたりしていくんで」
まもなく最盛期のはずなのに…
漁協によりますと、魚津漁港には、バイ貝専門の漁船が4隻ありますが、カゴがすべて無くなったままの漁船もあるといいます。バイ貝漁は例年なら6月から8月にかけて、ピークを迎えます。
この時期を逃すとバイ貝漁としてはかなりの痛手になるため、いま急ピッチでカゴ作りが行なわれていますが、一日かけても作れるかごは1個が限界とのこと。
さらにもう1つ問題が…。
漁師 水島さん:「一本(のロープ)で獲れていた量のどれくらいになりました」「半分になりましたね」
少しずつ獲れるようになってきたものの漁獲量は半分ほどに減ったといいます。
魚津漁業協同組合 濱住博之組合長:「カゴの製作は一生懸命やっているので、おいおいと追いついてくると思うんですけど、漁獲量が復活するかどうかについては、何とも言えない状態ですよね」
いまや魚津の”ソウルフード”に
飲食店ではバイ貝を待ち望む声があちこちから聞こえてきます。
魚津漁協の直営食堂「魚津丸食堂」。これまで通年、バイ飯を提供していましたが1月の地震以降、販売を停止。
今月からようやく週に2、3回は提供できるようになりました。
魚津丸食堂 竹内直樹店長:「やっぱりバイ飯を食べに来られるお客さんはけっこうたくさんいらっしゃったんで、復活を受けて早速お客さま、いらっしゃたりとかしてくれて大変うれしい反響がありましたので」
朝獲れたばかりのバイ貝をいただいてみました。
佐藤優里アナウンサー:「コリコリした歯ごたえがあって口の中でほのかな甘みが広がっています、おいしい」
そしてこちらはバイ飯特別定食。まだ安定してバイ貝が供給されていないため今月29日まで、と期限を設けて販売しているとのことです。
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