粉飾した決算書を提出して銀行から融資金をだまし取ったとして、詐欺容疑で警視庁に逮捕されたベアリング商社「堀正工業」(東京都品川区、破産手続き中)の元社長らが、いったん正しい決算書を作成した後、提出する金融機関ごとに粉飾内容を修正していたとみられることが、関係者への取材で分かった。  関係者によると、堀正工業は元社長の堀雅晴容疑者(69)が社長に就いた2003年ごろから決算の粉飾を続けていた。

◆正しい決算書を作ってから数字を操作

 粉飾の手法は、決算時ごとに正しい決算書を作った後、当期の利益が出るよう売り上げを水増し。負債や資産などもつじつまが合うよう調整した決算書を税務署に提出していたという。  さらに、税務署に出した決算書をベースに、提出先の金融機関ごとに数字を修正し、経営状況をより良く見せていたとみられる。こうした手法は年々巧妙になり、マニュアル化された。取引金融機関は07年ごろで10社ほどだったが、22年ごろには54社に拡大した。  警視庁は18日、粉飾決算で三菱UFJ銀行から融資金5億円をだまし取ったとして、詐欺容疑で堀容疑者と同社元総務部長の大熊重康(73)、元顧問税理士の山口賢一(74)の両容疑者を逮捕。同様の手口での融資金詐取についても調べている。 

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