山あいにポツンとあるコンビニエンスストア『Yショップやまよ 京都美山店』。京都府南丹市の美山町にある唯一のコンビニです。この地域ならではの商品も揃えていて、地元住民の暮らしを支えています。

鎌を販売!?京都府南丹市美山町にあるコンビニ

 かやぶきの里で知られる京都府南丹市美山町。この町にちょっと変わったコンビニエンスストアがあります。
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 小さな店にはコンビニチェーンの定番商品はもちろん、町自慢の牛乳や美山産の卵を使ったサンドウィッチ。さらに、『美山生活の必需品!?』というポップとともに売られているのは「鎌」です。
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 (店長 中島和行さん)「田舎で美山で生活するには必要かなと思って、最近置きました。畑とか田んぼとかされる方もいる」

 美山唯一のコンビニを定点観測しました。

 午前6時45分。『Yショップやまよ 京都美山店』店長の中島和行さん(41)が店を開けます。
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 (中島和行店長)「(Qいつもこの時間に来る?)そうですね、この時間です。7時前か7時すぎにヤマザキの配送が来るので」

 午前7時。店の開店と同時に、商品を載せたトラックが到着しました。パンやおにぎり、デザートなどを店内の棚に陳列していきます。中島さんのお母さんも店を手伝います。朝は、出勤前にお昼ごはんを買い求める客が訪れます。
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 (客)「(大阪の)堺から。美山の(工事)現場に行く。ずっと(店を)探していて、ここしかなかったから」

 周りに商店はなく、ポツンとコンビニがあるだけ。このお店を頼ってくる客も多いそうです。
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 (中島和行店長)「美山の入口でもあるので、観光客の方も寄ってくださるし、住民の方も利用してくださる」

元サラリーマンが店をつなぐ「なくすとだめという思いで」

 このコンビニがオープンしたのは27年前。長く地元で親しまれてきましたが、去年、前の店長だった男性が病気になり、店を閉めました。買い物に困るようになった住民。再開を待ち望む声を聞いた中島さんは、サラリーマンをやめて店を引き継ぎ、今年4月、再びオープンしました。
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 (中島和行店長)「ないと不便やなというのと、そういう声もたくさんあったし。子どもも小さいので、この先ずっとここで住んで暮らしていくなら、なくすとだめな店だなという思いで始めました」

 再開にあたって地元のニーズに合ったものを並べる工夫をしました。
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 (中島和行店長)「田舎なので周りにお店が少ないので、冷凍食品を置いたり。これは、町の方はわからないと思うんですけど、田んぼに水を入れるときに、溝から田んぼに水を入れたり止めたりする道具です。どこにもあまり売っていなくて、田んぼされている方がすごく困っていて、『ぜひほしい』という声があって、10個くらい売れています」

宣伝担当「のりちゃん」がインスタで紹介する大人気商品『豆いっぱい大福』

 午前11時30分。ある女性が店に入ってきました。お昼間、店を手伝ってくれる従業員の鈴木紀子さんです。夕方まで、店は“のりちゃん”に任せ、中島さんとお母さんは休憩します。
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 話し上手なのりちゃん、客と会話が弾みます。

 (客)「(Q何を話していた?)美山のすばらしさを共感し合っていました。僕は奈良の天理から来ました。すごく自然も豊かでみんな感動しっぱなし」
 (鈴木紀子さん)「ぜひまた来てください。私の友達も天理に住んでいる」

 客との距離が近くなるのも田舎のコンビニならでは。
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 のりちゃんは店の宣伝担当でもあります。おすすめの商品は『豆いっぱい大福(150円・税込み)』。4月は1か月間で1350個も売れたそうです。

 (鈴木紀子さん)「『豆いっぱい大福』ということで、いったい豆が何個入っているのかということで、豆を取り除いて何個入っているのかを数える動画を撮影しました」
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 その様子は店のインスタグラムにアップ。ひとつひとつ豆をとって並べると、1つの大福から、なんと41個も。

 (鈴木紀子さん)「この値段(150円・税込み)で41個入っているのはすごいなと感激しました。たまに仕事終わりにこそっと買って、(子どもの)お迎えに行く前にパクっと口にほおりこんで。夫にも内緒です」

 午後3時30分。バイクに乗った2人の客が来店しました。のりちゃんおすすめの大福を手に取り、店の休憩スペースへ。ツーリングの時に何度か立ち寄ったことがあるということです。
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 (客)「(Qいつも大福を食べる?)大福は好きですね。ずっしりしておいしいんで。オートバイで来る時にちょっと寄らせてもらっていたんやけど、(店が)なくなってしまったんで、『あぁなくなったんや』と思って寂しかったんですけどね。きょう見たら復活しているんでよかったなと」

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