たんの吸引など日常的に医療的ケアが必要な子どもたちがいます。こうした子どもたちが学校へ通う際、親の付き添いがなくても必要なケアが受けられる法律が3年前に施行されました。しかし、現実は厳しく、親の負担に頼らざるをえない、厳しい状です。

富山県滑川市に住む久枝美帆さんの三男・渉くん、8歳。渉くんは2歳の時に国の指定難病「ミトコンドリア病リー脳症」を発症しました。治療方法はなく、突然、発作が起きるなど、全身に様々な症状がおこります。

母・美帆さん:「難病ってものがこの世にあるの知っていたけど、まさか自分の子が治らない病気にかかるっても、何かドラマの中だけの話みたいな感じの感覚があったから。そうなんだ、治らんのやみたいな」

多い時は1時間ごとに痰を吸引、鼻からチューブを通して、直接、食事や薬を注入します。生活のあらゆる場面で介助が必要です。

母・美帆さん:「十二指腸に入れるってなると一気にたくさん糖分とかが入ったりすると、突如低血糖になってショック状態になったりする場合があるらしくて、なので機械で確実に何時間かけてっていうのを設定して入れないとだめ」

美帆さんは3年前、事故で夫・暁さんを亡くしました。今は一人で3人の男の子を育てています。

美帆さんは上の息子2人を学校に送り出したあと、渉くんと30分かけて支援学校に向かいます。

母・美帆さん:「朝ちょっと若干体調悪そうだけど、どうしようかなっていうときに『学校行く?』って聞いたら『いく~!』って。友達に会うとすごく嬉しそうです」

午前9時、学校に到着。

富山市の高志支援学校。軽度から重度の障害がある6歳から18歳までの子どもたち57人が通っています。渉くんを含め、医療的ケアが必要な子どもは28人います。

教室の後ろで授業を見守る美帆さん。渉くんの様子を見て、痰の吸引を行います。

母・美帆さん:「授業中とかだと、痰をとるのが、ごろごろしたら取りにいかなきゃない。1時間に一回くらいは引いているかな。医療ケア児の付き添いってなると、最初こんな感じ。ずっと横で授業参観してる感じです」

ひとりひとりに応じた対応をとる看護職員

学校には医療的ケアを行う看護職員がおよそ10人勤務、子どもたちの障害によって対応は様々です。

看護職員:「本当に一人ひとり違います。なのでやっぱり、主治医指示書がないとなかなか動けないし、そこ見ながら私たちも1回1回確認しながら注入とかケアをしています」

看護職員が来ても、美帆さんはその場を離れられません。その理由は…。

母・美帆さん:「主治医の先生が学校でもう看護師さんがするのでOKだよってならないと、親は離れられないので」

渉くんに必要な医療的ケアを、看護職員が覚えるまでは親の付き添いが続くのです。また、この年、渉くんが風邪などで入院を繰り返し、症状が安定していないことからも付き添いが必要とされたのです。一方、学校からこんなお知らせも…。

母・美帆さん:「看護師が不足しているので、この日これだけ人数が少ないってなったときとかに、『この日、親御さん付き添えますか?』みたいなことらしいです」

看護職員が不足していて、人数が足りないときに付き添えるかどうか書かれていました。

母・美帆さん::「こうしていかないと、学校もやっていけないからっていう、悩まれてるところはあるみたい」

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