15日、日本の鉄道技術史上大きな足跡を残した車両、381系やくもが惜しまれつつ定期運行を終えました。
山あいのカーブが続く路線で飛躍的なスピードアップを可能にし、高速旅行時代を切り開いた特急電車です。

夜のホームに次々と人が集まって来ます。

(アナウンス)
「特急やくも25号、当駅止まりの列車が到着となります。」

お目当てはラストランの国鉄色やくも。
岡山県内の落石で1時間遅れになりましたが、ゴールを数百人が見届けました。

(集まった人たち)
「サンパーイチ有難う。お疲れ様!」

曲線の先に消えて行くテールランプを見送ります。
日本の鉄道はカーブが多く、スピードアップの障害になっていましたが、バイクが曲がるように車体を傾ける振り子方式で限界を打ち破ったのが381系です。

1982年導入の伯備線では、従来のディーゼル特急が岡山駅から出雲市駅まで
3時間40分前後かかったのを一気に20分短縮しました。

その381系の老朽化による引退が決まるとJRは過去の懐かしい塗装を復元した
3編成を順次登場させました。
このリバイバルカラー編成は冒頭の国鉄色を含めこれで全て引退し、今後は廃車予定とされています。

さらに一夜明けた15日朝で、ほかの381系も定期運行から離れました。

出雲市の車両基地では撮影ツアーが開かれて、120人がヘッドマークを次々切り替える「幕回し」などを愛機に収めました。
何と4割が首都圏からの参加です。

東京からの男性
「全国的に親しまれたデザインなんで。これがなくなっちゃうのは非常に残念です。」
神戸からの男性
「昔からの国鉄型が好きですね。堪能できました。最後、はい。」
兵庫からの男性
「(この)一時しか体験できないことなんで、立ち会えて良かったかなと。」
「兵庫からの男性
近畿の方も最後は国鉄色だったんで、ずっとそれで走ってたんで、すごい懐かしいのあります。」

JR西日本山陰営業部・足立智課長代理
「(381系には)42年間多くのお客様を運んで頂いたので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。車両に関わる皆さんですね、そのほか381系に関わった全ての社員に感謝したいと思ってます。」

一方、会場にはこんな人も。

小西昌史さん
「とにかくどんな風景にも溶け込むし、映えるし、という感じでそれを今回の写真集で見て頂けたらなと。」

広島県の小西昌史さん。
5月末、米子市の出版社が発売した『特急やくも写真集』などを担当しているアマチュア写真家で、今回、国鉄色の美しさを改めて感じたといいます。
そしてその中でこんな活動も生まれていました。

小西昌史さん
「今、日野町の方では地元の農家さんと一緒に鉄道ファン集めて草刈りなんかもやっていまして。リバイバル色が復活したことによって、そこに人も沢山寄るようになって来て。国鉄色が結んだ縁ですね。これは。」

列車は単なる移動手段ではなく、様々な人々の縁を結ぶ魔法の仕掛けになり得るものかも知れません。

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