北海道、そして、マチの発展を60年にわたって見つめ続けてきたアート作品がまもなく見納めとなります。
見たことがないという方も、その魅力に触れてみてください。

 その作品は、札幌市の北海道銀行本店の1階ロビーにあります。

北海道銀行経営企画部 石水百恵さん
「(横幅はどのくらい?)横が41メートル、縦が3.3メートル」

 見る人を圧倒する存在感。作品名は「大地」です。
 農業、水産業、そして工業など北海道の産業をモチーフに、1964年の本店ビルの完成から60年の間、掲げられてきました。

泉優紀子記者
「銅のように見えていて非常に重たそうに見えますが、ポリエステルの樹脂でできていて、見た目で受ける印象よりは“軽く”外すことができるそうです」

 制作したのは、「泉の像」の本郷新、「開拓母の像」の佐藤忠良、「希望」の山内壮夫という、いずれも大通公園にある作品を手掛けた彫刻家たちです。
 
 先週、ある映像を観ようと多くの人が訪れた場所がありました。
 お目当ては、作品の制作過程を収めた22分間の記録映像です。

記録映像の音声
「41メートルもある長さだから、最初からおしまいまでリズムでつなげていかないといけない。柱があるでしょ、どこにアクセントをいくつ置くかというのを最初に決めて…」

 粘土が完成したら石こうで型をとり、樹脂を流し込む…。
 3人による作業は、東京のアトリエで行われ、分割して札幌に運び込まれたといいます。

60代女性
「(行員として)レリーフを背中に窓口をやっていた。もう45年以上前。あんなに大変な思いをして造っていて、このまま閉まってしまうのは惜しい」

 作品は道銀本店の移転に伴い、19日の午後3時で見納めになります。

北海道銀行経営企画部 石水百恵さん
「窓口に来たお客さまが実際にこのレリーフを貼りつけた人の1人で、自分がつけたということで感慨深いと話していた。取り外す時も協力しようと思っているという話だった」

 特徴でもあるその大きさがネックとなって次の展示先が見つからず、しばらくは、市内にある銀行の研修施設で休むことになるそうです。

本郷新記念札幌彫刻美術館 吉崎元章館長
「札幌が生まれ変わろうという勢いがあったときに造られたものがどんどんなくなってきている。北海道の歴史をすばらしい形で刻んでいるものは(ほかに)ないから、逆にこれを置くという形で再開発を進めてほしいくらいの気持ち」

 60年にわたりマチの発展を見続けてきた「大地」。
 時代の移ろいとともにいったん、その役目を終えます。

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