JR博多駅前で元交際相手の女性を殺害したなどとされる男の裁判員裁判がきょう、福岡地裁で始まる。ストーカー規制法に基づく禁止命令が出されていた男は初公判で何を語るのか、注目される。

元交際相手を殺害か殺人罪に問われる男

事件は2023年1月16日の午後6時すぎ、福岡市のJR博多駅前の路上で起きた。

起訴状などによると、住居不定・無職の寺内進被告(32)は、JR博多駅前の路上で、元交際相手の川野美樹さん(当時38歳)の胸や背中、頭などを包丁で複数回刺して殺害したとして、殺人などの罪に問われている。

ストーカー規制法「禁止命令」も…奪われた命

事件の1年ほど前に大阪から福岡に引っ越し、飲食店で働いていた寺内被告。同じグループの別の飲食店でアルバイトをしていた川野さんと交際を始めたものの、長くは続かなかった。その後、寺内被告のストーカー行為が始まったという。

2022年11月23日、午前4時すぎから午前9時半ごろに4回にわたって、川野さんの携帯電話や川野さんの勤務先に電話をかけた寺内被告。川野さんからの相談を受けた警察は、11月26日、ストーカー規制法に基づいて、川野さんにつきまとい等をしてはならないという禁止命令を、寺内被告に対して出していた。にも関わらず、寺内被告は、事件が起きた1月16日、勤務先から帰宅する川野さんを待ち伏せし、つきまとったとして、ストーカー規制法違反の罪にも問われている。

被告は逮捕後の警察の取り調べに対して、「復縁を求めたが、かなわずに刺した」といった趣旨の供述のほか、「女性の方も悪かった」と自分の行為を正当化する供述もしていたという。

別の傷害事件では「有罪」刑の重さは今回の裁判とあわせて決定

寺内被告は2022年8月、福岡市博多区上川端町の路上で、川野さんに声をかけた男性の顔を殴って重傷を負わせたとして、傷害の罪にも問われていた。

福岡地裁は2024年3月、「川野さんが連れ去られそうになったと思い反撃した」とする弁護側の主張に対し、「被告は被害者に攻撃する意思がないと認識していた」と指摘。「被害者に落ち度はない」として、寺内被告に有罪判決を言い渡した。刑の重さは、今回の殺人などの罪とあわせて決定される。

今後の裁判

きょう始まる裁判員裁判では、殺人やストーカー規制法違反について、寺内被告がどのように語るかが注目される。4日間にわたる被告人質問など審理が行われ、6月28日に判決が言い渡される予定だ。

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