コインを入れてつまみを回すとカプセルが出てくる『ガチャ』=『カプセルトイ』。

入っているのは「おいしいもの」や「信州の名所」など実にさまざまです。

各地に専門コーナーができるなど根強い人気ですが、なんと長野県須坂市(すざかし)の須坂市役所には、玄関の中央に堂々と2台のマシンが。

500円を入れて出てきたカプセルを開けると…

中に入っていたのは一枚のチケット。

そこに書かれた店に行くと、お菓子と引き換えることができる、その名も『すざ菓子(すざかし)ガチャ』です。

どんなお菓子がもらえるのかさっそく店を訪ねてみました。

「ただいま商品ご用意いたします」

店は4年前にオープン。

築60年余りの建物をリノベーションした店内には、鮮やかな色のボンボンショコラや動物をかたどったチョコなどが並びます。

そんなチョコレート専門店がガチャの商品として用意したのは、この夏の新製品『手持ちパフェ』です。

アンドチョコレート・横村奈緒美さん:
「チョコレートは冬の(食べ物の)イメージが強いが、夏でもアイスをチョコレートソースなどで合わせると、冷たいスイーツとして召し上がっていただけますので、こういったかたちで出しています」

パフェは店で買うと800円。

ガチャの場合は500円なので、かなりおトクです。

『すざ菓子ガチャ』は、観光協会が2021年に初めて企画しました。

信州須坂観光協会・市村紀志子さん:
「ガチャを通してまだ行ったことのない店に足を運んでいただくことと、須坂のスイーツを楽しんでもらいたいと企画しました」

以来、年一回、期間を決めて実施し第4弾の今年は20店が参加しています。

蔵のまち観光交流センター・中村咲江さん:
「地元の方はもちろんですが、観光の方もご案内すると楽しんでもらっています」


創業100年を超える老舗和菓子店も、ガチャに参加しています。

チケットと引き換えに出てきたのは、名物のみたらし団子が7本。

普通に買うよりお得で、大盤振る舞いです。

チケット1枚あたり500円を超える分は店の持ち出しになりますが、それでも参加するメリットがあるといいます。


コモリ餅店・島田昌明さん:
「結局ガチャは運なので(チケットが出た店に)たまたま行くという形になるから、知らないお客さんも来てくれる、そういうメリットがあって、すごく嬉しいです」

3月末にオープンしたばかりのスイーツ店も「店や商品を知ってもらうきっかけに」と、初めて企画に参加しました。

「ではこちらの5種類のクリームチーズサンドからおひとつと、生チョコレートサンドからおひとつお選びください」

クリームチーズにバター、フルーツなどを混ぜ込み、県内産の小麦を使ったクッキーで挟んだ一品。

生チョコサンドとともに「これまで須坂になかったものを」と開発したそうです。

ジュリアン・伊藤佳奈さん:
「ちょっと奥まった場所にお店があって(ガチャをきっかけに)こんなお店があるんだと探して来てもらえれば嬉しく思います」

そして『すざ菓子ガチャ』には、大当たりもあります。

この店では2つのお菓子に加えてカフェオレなどの飲み物がセットに。

チョコレート専門店ではパフェがサイズアップ。

もし当たれば…ですが、500円でリッチなカフェタイムが楽しめそうです。

物価高で家庭の節約志向が強まる中、地域の商店を支援する役割も期待される『すざ菓子ガチャ』は、市内の4か所に8月20日まで設置されています。

信州の「ご当地ガチャ」は数々あれどカプセルに入れる製品を手がける県内企業は実は少数。

製作の現場を訪ねました。

伊那の石仏に…

中野の土びな。

”ご当地もの”のカプセルトイ=ガチャも様々ですが、上田電鉄・上田駅にあるのが『信州の懐かし鉄道』。

上田電鉄のほか、長野電鉄やかつての松本電鉄の車両など、組み立て式のミニチュアが入っています。

さらに、『シークレットアイテム』として、駅舎や鉄橋を走る電車などがあり、ファンならずとも欲しくなるラインアップです。

これらを設計、製造しているのは上田市に本社を置くプレスト。

自動車部品関連の品質検査を本業とする企業です。

コロナ禍や半導体不足をきっかけに『ホビー事業部』を立ち上げ、2020年に初めてガチャを発売しました。

信州の魅力を伝えたいと開発したのが、松本城や高島城などの『お城』シリーズです。

プレスト・袖岡拓さん:
「最初は実際に現地に行って写真を撮ったり、各地に資料館もあるので見学したり、資料集めたりして設計を始めます」

カプセルに収まるサイズにするためデフォルメしつつ再現性にもこだわります。

「実際と比べても見劣りしないような設計を心がけてますので、石垣の積み方でしたり、これも実際の写真をトレースしている」

設計をもとに最新式の3Dプリンターで成形。

高性能の3Dプリンターの普及がコストを抑えた『多品種少量生産』を可能にしています。

この会社が手掛けるガチャはどれも、色のついていない、数点の部品が入っています。

自分で色を塗り、組み立てることが最大の特徴です。

素顔を出すのは恥ずかしい、という社長ですが熱い思いが。

プレスト・小松憲史社長:
「塗ると自分だけの作品になりますし、愛着も非常にわくと思う。ぜひそういう楽しみを知ってもらいたい。買っておしまいじゃなくて、作って塗って飾って、友達に見てもらったりして楽しんでもらいたい」

カプセルには説明書も同封、子どもたちにもわかりやすく組み立てや塗装に必要な道具や方法を説明しています。

プレスト・石田基由さん:
「うちの製品をとっかかりに、プラモデルとかものづくりにつなげていってくれたらなと思っています」

『メイドイン信州』にこだわったご当地ガチャの売り上げは、2023年の発売以来4000個あまりと好調で、次は「信州の国宝」シリーズを検討しているということです。

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