新潟県阿賀町に少し変わった『ご当地かるた』があります。
読み札に書かれているのは…
「近づくと カブれてしまうよ ヤマウルシ」
実はこの『かるた』、町で採れる山菜などを知ってもらおうと作られたのです。
そのきっかけは小学生の一言でした。
阿賀町の山で採れる山菜や木の実を取り揃え、取りやすさのほか、毒性をどくろマークで示すなど、山のめぐみをわかりやすく学ぶことができるかるた、その名も『阿賀るた 春と秋の恵み編』。
企画したのは阿賀町まちづくり観光課の佐藤高博さん(48)です。
佐藤高博さん
「阿賀町は自然が豊かな土地。大人から子どもまで楽しんで遊べるツールとして『かるた』という形をとりました」
作ったきっかけは佐藤さんが総合学習の授業で訪れた小学校での出来事でした。
「小学生の子どもたちから『阿賀町には何もない』と言われて…」
新潟県で一番少子高齢化が進む町で…
阿賀町は65歳以上の高齢者の割合が51.5%で、新潟県内で一番高齢化が進む町となっています。その未来を担う子どもたちから言われた「阿賀町には何もない」。
佐藤さんはかなりのショックだったと振り返ります。
阿賀町まちづくり観光課 佐藤高博さん
「阿賀町は自然が豊か。それを子どもたちに知ってもらいたいとあらためて思いました。なので、遊びながら学べる。実際に見て、これがそうなのかということも知ってもらいたいです」
佐藤さんの思いから生まれた「阿賀るた」。
2022年に第1弾として「きのこ編」が発売されると密かなブームとなり、今年4月、第2弾として誕生したのが「春と秋のめぐみ編」です。
では、阿賀町の山には一体どんな山菜が生えているのか…
5月中旬、かるたの監修者・東蒲自然同好会の渡部通会長(75)と佐藤さんに案内してもらい、山に向かいました。
向かったのは、阿賀町役場から30分ほど車で走った山中にある人工の湿地「たきがしら湿原」。
ここに、誤って採って食べると危険な山菜があるというのです。
東蒲自然同好会 渡部通会長
「これです。フキの葉っぱと間違って食べてしまうことがあるのですが、中毒症状を起こしてしまいます」
山菜を正しく見分けるコツを“かるた”で
渡部さんが教えてくれたのは、フキと間違いやすいという『エンレイソウ』という植物。
葉っぱを比べてみると、フキはとげとげとしているのに対してエンレイソウは丸みを帯びています。
さらにエンレイソウは葉っぱが3枚で、良く見比べるとフキとは違うというのがわかります。誤って食べてしまうと、おう吐や下痢などの中毒症状を引き起こすとされています。
東蒲自然同好会 渡部通会長
「山菜ひとつとってみても、うっかり間違ってしまうこともあるので、よく確認して取ってほしい。例えば、エンレイソウは葉っぱがフキと似ていて、うっかりとって食べてしまって中毒を起こしてしまう。かるたで“見分け方”を伝えることができるんじゃないかと思うんですよね」
阿賀るたでは、フキ(フキの茎)は“取り易さレベル3”
エンレイソウを “毒レベル1”としていて、食中毒に注意を呼び掛けています。
さらに危険な“山のめぐみ”があるということで向かったのは、40分ほど進んだ山中…阿賀町役場から1時間以上…福島県境にほど近い山奥の林道脇にも“危険な植物”がありました。
“毒レベル3つ”の危険なヤマウルシ
渡部さんが教えてくれたのは“ヤマウルシ”。
“どくろマーク3つ”の危険な植物なのです。
東蒲自然同好会 渡部通会長
「みなさんご存知かもしれませんが、これは触るとかぶれてしまうウルシです。実は天ぷらなどで食べるとおいしい“タラの芽”が採れるタラの木と似ているんです」
触るだけでなく、過敏な人は近くを通っただけでもかぶれてしまう人もいるという“ヤマウルシ”…タラの芽と間違って採ってしまい食べて食中毒に…そんな事例が過去にあったと言います。
木肌が赤いヤマウルシの新芽(今年生えた部分)。
一方、タラの木の特徴はその枝ぶりだと渡部会長は話します。
「タラの木は枝にトゲがたくさんあります。軍手をしないと痛くて触れない。一方、ヤマウルシはすべすべです。こういう特徴があるので、気を付けてほしい。私は幸いにも誤って食べったことはないですが、誤って食べた方の話を聞くと、様々な部分が痛くてかゆくて、どうしようもなかったということなんです」
ヤマウルシの“毒レベル”は最高の3。十分注意して、春先のタラの芽を楽しんでほしいと渡部さんは話します。
「やっぱりタラの芽はおいしいですからね。ただ山には地権者、所有者がいますし、毒がある植物もありますから、採るときには気を付けてもらいたいですね」
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