長崎原爆の被爆未指定地域に降った雨や灰について、13万件を超える体験記を調査していた国が「客観的事実として捉えることはできなかった」とする調査結果を公表していたことが分かりました。
今月11日付で厚労省が公表した「被爆体験記調査の結果」によりますと、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館が所蔵するおよそ13万件の被爆体験記の中から、被爆地域以外の雨や飛散物の記述の有無を調査したところ、雨に関する記述が41件、飛散物に関する記述が159件確認され、特定の病気があれば被爆者健康手帳が取得できる第一種健康診断特例区域も除くと雨が27件、飛散物が127件でした。
この結果について、厚労省は統計学・疫学等の専門家の評価の結果、「降雨等を客観的事実として捉えることはできなかった」と報告しています。
厚労省の判断について、被爆未指定地域の被爆の影響を訴え裁判を続けている被爆体験者訴訟原告団長の岩永千代子さんは「唖然とした。広島との整合性をどう説明するのか。私達は嘘は言っていない。真実はある」とコメントしています。
広島では裁判をきっかけに被爆地域外で黒い雨を浴びた人を救済する新しい基準が設けられ、2022年度以降およそ6千人が新たに被爆者と認められています。
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