世界一の職人についてお伝えします。
山梨県北杜市の工房で作業する男性。

5月に開催された革靴づくりの世界一を決める大会で最年少で優勝した若き職人です。
世界一となった靴とは…

山梨県北杜市大泉町。
自然に囲まれた森の中にある、オーダーメイド専門の革靴店 Khish the Work。

代表をつとめるのは革靴職人の菱沼乾さん (30)です。

横浜市出身の菱沼さんは建築設計の仕事をしていましたが、趣味で通っていた革靴づくり教室をきっかけに4年前に革靴職人に転身。

去年祖父母が住んでいた北杜市に移住し、この店をオープンしました。

Khish the Work 革靴職人 菱沼乾代表:
「300~400足くらい革靴を買った。作るのが好きだったのと革靴好きが合わさることで、これだったら仕事を辞めてでも靴に全部の時間と気持ちを充てたいと思い、馴染みもあったので、こういったところでいつか靴を作りたいなというのがあった」

まだ4年の若手職人ですが実は・・・

5月、世界11か国から25人の精鋭が参加した革靴づくりの世界大会で初優勝しました。

「ワールドチャンピオンシップスシューメイキング2024」30歳での優勝は最年少だということです。

こちらが世界一を受賞した靴です。
「ライトブラウンの革を使ったフルサドルローファー」のテーマに沿って、約2か月かけて制作しました。

Khish the Work 革靴職人 菱沼乾代表:
「土踏まずの部分が分離して、手縫いでアッパー(靴上部)と一体化させている。僕の知る限りでは世界で類を見ない初めての作り方。U字を描いているラインは革の厚みの中を糸を通す方法で、ボコボコ感が強調される。見た目に優れた縫い方。手縫いでないとできないので手間がかかる」

オリジナリティあふれるデザインや細かい部分における技術の正確性などが評価されました。

世界一を受賞した 革靴職人 菱沼乾さん:
「よしって声を上げました。取らなきゃいけないくらいの気持ちで臨んだのでほっとして涙が出た。それ(世界一)によって注文が入って制作が始まったりしているが反響があった」

靴は今後フランスやシンガポールなど世界各国で展示される予定です。

世界大会優勝をきっかけに新たに始めたサービスがあります。

世界一を受賞した 革靴職人 菱沼乾さん:
「バーキンセブンといって、ずっと憧れていた車の一つ。世界大会に靴を出品するにあたって優勝したらこの車買ってやるぞという目標でやって、優勝したから買った」
「森の中で靴を頼む経験をより楽しんでもらおうと思って、お客さんで好きな方は送迎したり、八ヶ岳の森と車と靴を一緒に楽しんでもらいたいと思っている」

この日は福岡県からの来客がありました。

福岡からの客:
「踵(かかと)とここ(小指)は歩いて時間がたってくると違和感を感じる」

注文したフルオーダーの仮靴を試し履きし、フィット感や細かい仕様を確認していきます。

福岡からの客:
「ここに来ないと味わえない体験。オーダーは靴を手にするだけでなくてオーダーしていく体験とか、そこを含めて魅力だと思っているので、福岡からここまで来る価値はある」
「世界一に輝いた方が作ってくれた革靴にプレッシャーというか、私なんかが履いていいですかというそっちの気持ちが最初にきたので、この靴に負けないような いつか(世界一の)靴を履きこなせるような男性になりたい思いでいる」

「カッコよさ」と「履き心地」の両立を目指して。

菱沼さんは名実ともに世界一の靴職人を目指します。

世界一を受賞した 革靴職人 菱沼乾さん:
「世界大会の靴は『履き心地』が評価基準にはないので、世界一を取ったが世界一の靴職人とは思っていなくて、(お客さんに)ずっと喜んでもらえるような、喜びを大きくしていけるような職人になっていきたい」

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