過去最高値を更新するなど高騰が止まらない「銅」を狙った窃盗被害が止まりません。警察は盗品が換金されないよう、買い取り業者の取り締まりを強化。Nスタは盗んだ銅線の売却先として浮上した業者を直撃取材しました。

今月3日、千葉県内の電気工事会社の前に止まった1台の車。男が運転席から降りてきて、銅線ケーブルなどを物色し、あっという間に持ち去っていきました。

その1週間後。再び男が現れます。

会社のスタッフ
「入れましたね?いきますよ」

資材を積み込んだ瞬間、警戒していた会社のスタッフが直撃。

会社のスタッフ
「なにしてます?」


「勘弁して」

会社のスタッフ
「勘弁してじゃないよ、何回やってんの?もう逃げたって無駄だからね」

男は駆けつけた警察官に窃盗の疑いで逮捕されました。

全国で相次ぐ、銅線を狙った窃盗事件。太陽光発電所の銅線を盗もうと白昼堂々、動き回る者や…這いつくばって侵入する者も。

狙われるのは太陽光発電所だけでなく、最近はこんな意外な場所でも…

従業員
「当初6月ぐらいにオープンといいますか、稼働を目指して」

神奈川県内の人工サーフィン場では、波を作り出す装置に使われる銅線ケーブル2100万円相当が盗まれ…

栃木県内の神社では、屋根などに付けられていた銅板400万円相当が剥がされるバチ当たりな犯行も。

宮司
「もう怒りを通り越して言語道断」

銅線などの金属窃盗被害は去年1年間で、1万6000件を超え、3年間で3倍近くに。

では、誰が何のためにこれほど大量の銅線を盗んでいるのでしょうか。

群馬県警は11日、太陽光発電所の銅線ケーブルを盗んだ疑いでカンボジア人2人を逮捕。

さらに、取り締まりを強化しているのが買い取り業者です。その実態を探るべく、私たちは法を守り営業している一般の買い取り業者のもとを訪ねました。

買い取り業者
「こういうのは剥いて、ピカ線になって大きい会社に出す(売る)」

群馬県伊勢崎市のこちらの業者は銅線を覆う被覆を剥がし、「ピカ線」と呼ぶ綺麗な状態にしてから、大手の金属問屋に持ち込みます。その後、銅線は海外に輸出されるなどしているということです。

銅の価格は4年前に比べておよそ2倍に高騰。買い取り業者にとっても貴重な商品ですが、こんな被害も…

去年10月、業者の倉庫内に侵入した2人組。いったん画面から消えて…1分もしないうちに戻ってくると腕の中には大量の「ピカ線」が!

買い取って倉庫内に保管していた銅線500キロ、75万円相当が盗まれたのです。

買い取り業者
「銅は高いし、その量で…悲しい」

一方、警察の捜査では、一部の業者が盗まれた銅線を買い取っている疑いも浮上しています。先月、茨城県警はカンボジア人などの窃盗グループが盗んだ銅線の売却先として挙げた県内の買取業者を家宅捜索しました。

盗品と知った上で買い取っていたのか。Nスタの直撃取材に対し、カメラを回さないことを条件に業者はこう話しました。

買い取り業者(取材に対し)
「こちらは、ちゃんとルールを守って買っている。何が違反かわからない」

しかし、県の条例で義務づけられている売り主の身分確認については…

買い取り業者(取材に対し)
「その時は身分の確認はしていなかった。持ち込まれるものが盗品かどうかわからないから難しい」

業者はその後、県警の指導を受け、売り主の身分証の写しを取るようにしているということです。

全国で被害が拡大する「銅線窃盗」。警察庁は盗んだ銅線が不法滞在の外国人らの資金源になっているおそれもあるとみて取り締まりを強化しています。

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