ことし初の猛暑日も観測される中、いま心配されているのが「水不足」です。すでに影響が出始めています。

■新米が出てくる8月にはコメ不足・高騰は落ち着く可能性も?

井上貴博キャスター:
お米がないとなると「すぐ買わなきゃ」となってしまいがちですが、冷静に受け止める必要がありそうです。ここから安定していくという予測も出ています。

11日に神奈川・横浜市内のドラッグストアのお米コーナーで撮影された写真を見ると、お米は1個もありません。撮影者は「ここ1か月ほど『コメ不足』続いています。問い合わせると、入荷しても3~5個程度と、あまり回ってこないとのこと」と話しています。

他のスーパーにも聞いてみました。たとえば東京・足立区の「スーパーさんよう」では、新潟産の「新之助」は例年より早く売り切れたということです。いつもであれば再発注をかけるとある程度すぐ入ってくるものの、2024年はなかなか入ってこないということで、ラインナップによっては品薄状態ということなのかもしれません。

一方、大手スーパーのイトーヨーカドー担当者は「現時点ではコメ不足は起きておりません」との回答でした。

米店へのアンケート結果も出ています。仕入れ状況について「仕入れ量が少なくなっている」「仕入れができない」という回答は85%で、やはり増えているそうです(調査:日本米穀商連合会)。

そして、仕入れ価格は前年同月比で3000円以上上昇した(60キロ当たり)という回答。あまりお米が入ってこないということと、だからこそ仕入れ価格が高くなってきているということが、こういったデータからはわかります。

米店からは、具体的に次のような声が聞かれました。

●「問屋さんに欠品が多いので大変困っている」

●「他の物価は上がっているのに、コメだけは理解してもらえない」

●「値上がり分は売価には乗せられない」

全国の米農家から直接仕入れを行っている東京・渋谷区の「小池精米店」に聞くと、お米は品薄状況で、そして一部欠品もあるようです。仕入れ価格(60キロ=1俵)については、2023年秋ごろには約1万4000円だったものが、現在は2万円を超えているということで、値段は上がっているということが見えてきます。

その背景について、小池精米店の小池理雄さんは「インバウンド消費が増えたが、2023年秋は収穫不足だった。需要と供給のバランスが崩れ、コメ不足・高騰に」と話しています。

しかし8月には新米が出てくるので、落ち着く可能性もあるということです。今ちょうどこの時期が米不足、そして高騰が目立っているということのようです。

■農水省「収穫量は平年並み」「ひっ迫しているわけではない」

井上キャスター:
そして、農林水産省にも取材をしてみました。ニュースにもなっていますが、見た目の評価が高い「1等米」の比率について、2023年産(水稲うるち玄米速報値)のものは60.9%でした。前年から-17.7ポイントで、2004年以降で最低。見た目の評価が高い1等米はなかなか穫れず、少なくなってきているということです。

農水水産省の担当者は「2023年の猛暑の影響で1等米の収穫は減ったが、コメ全体の収穫量は平年並み。民間の在庫は十分にあり、ひっ迫しているわけではない」と話しています。

ホラン千秋キャスター:
今出回っているお米は昨シーズンに作ったものだと思いますが、やはり、継続的にお米を育てづらくなっているということなのでしょうか?

「食べチョク」代表 秋元里奈さん:
そうですね、特に2023年は猛暑の影響がすごく強かったです。私も秋に新潟にお邪魔しましたが、農家さんがまさに「1等米がまったく出ない、近所でもまったく出ていない」と話していました。

ただ、猛暑に強い品種というのもあり、2024年はそれに切り替えるという方も増えてきています。ここから先は、多分暑くなるだろうという前提で品種選びをしていくと思いますので、そこは大丈夫かなと。

そもそも実は、コロナでコメ余りということがもともといわれており、年間何十万トンも余ってしまっていた状況もありました。今は多分、インバウンドの復活などで需要が増えているため、一時的に少なく見えると思いますが、全体量としては十分な量がある状況なので、すぐに食べられなくなることはないかなと思います。

ホランキャスター:
農家の皆さんは、先の読めない状況に合わせて品種を変えたり育て方を変えたり、かなり大変ですよね。

秋元里奈さん:
猛暑対策というのは本当に重要なキーワードになっており、お米や野菜など、ありとあらゆるところでいわれています。品種改良もそうですし、肥料や資材の改良というのも、今どんどん進んでいますね。

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<プロフィール>
秋元里奈さん
オンライン直売所「食べチョク」代表 33歳
神奈川の農家に生まれる

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