障がいのある人もない人も混ざり合って生きられる社会にしたい…25年以上、活動を続ける医師がいます。札幌のNPO法人「障がい児の積極的な活動を支援する会 にわとりクラブ」の理事長を務める、脳神経外科医の高橋義男医師(75)です。

脳神経外科医でNPO法人「にわとりクラブ」の高橋義男理事長(75)

 高橋医師が取り組んでいるのは「いけまぜ夏フェス」。毎夏、障がいの有無にかかわらず、参加者みんなで、様々な体験をし同じ時間を共有しようという1泊2日の催しで、これまで、北海道内の約20のマチで開かれてきました。

スタンプラリーにコンサート、打ち上げ花火などさまざまな企画だけでなく、人との出会いが大きな刺激になる場所で、いまでは参加者が1000人を超える大きなイベントです。

イベント内容などを紹介するシンポジウム開催(5月19日 北海道富良野市)

 今年は、北海道富良野市で初めて開催されることになり、それに先立ち、イベント内容などを紹介するシンポジウムが開かれました。


シンポジウムでは、まず、開催地実行委員会の荒木毅実行委員長が「たくさんの人と交流することで、子どもの可能性が無限大に広がるイベント」と話し、地元の住民らに参加を呼びかけました。

開催地呼びかけ人の中村孝子さん(62)

 開催地、富良野市の呼びかけ人を務めることになったのは、中村孝子さん(62)です。

中村さんには、全盲の双子の息子、泰騎さん(23)と翔騎さん(23)がいます。9歳のころから「いけまぜ夏フェス」に参加した2人は、いけまぜがきっかけで、音楽活動をするようになりました。

ここ数年は、参加者をもてなす側のサポーターになった2人、「みんなで協力してイベントを成功させたい」と話します。今年の「いけまぜ夏フェス」では、楽器の音を声で表現するボイスパーカッションなどを披露する予定です。

サポーターを務める予定の中村泰騎さん(23) 右・翔騎さん(23)

 この日も、2人が「♪上を向いて歩こう」を奏でると、会場からは大きな拍手があがっていました。

中村さんは「いけまぜは、自分たちにもできることがあることを気づかせてくれた。貴重な体験ができるイベントだということを、みなさんに知ってもらいたい」と意気込んでいます。

高橋医師は、脳神経外科医として、「助からない…」と言われた、たくさんの子どもたちの命を救ってきました。

その経験から「子どもたちには可能性がある」「病気を治すだけでなく、子どもたちを社会に送り出すまでが自分の仕事」という信念を持っていて、障がいのある子どもたちやその家族を支援し続けていますが、その思いは少しずつ身を結んでいます。

26年前、参加する側だった子どもたちは、自分の可能性を信じて“挑戦”を続け、多くがイベントを支える側のサポーターへと成長しています。

今年のテーマは「磨け、そして輝け」。約2か月後の「いけまぜ夏フェス」に向け、着々と準備が進んでいます。

「いけまぜ夏フェス」は参加者を募集しています。障がいのある子どもやその家族、サポーター希望者は6月14日(金)まで、
富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村に在住のサポーター希望者は、6月30日(金)まで受け付けています。

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